リンデロンVとリンデロンVGという2種類の塗り薬は、どちらもそれなりに使用されている塗り薬ですが、非常に名前が似ています。
あやうく間違えて調剤しそうになったこともあります。
それどころか、「リンデロン」のブランド名を冠した商品は他にも多数あり、非常に紛らわしくなっています。
リンデロンシリーズの区別と、一部の製品に含まれている抗生物質の必要性と耐性菌について書いていきます。
リンデロンシリーズの区別【VとVGは何が違う?】
リンデロンVの有効成分はベタメタゾン吉草酸エステルというステロイドです。
リンデロンVGの有効成分はベタメタゾン吉草酸エステルに加え、抗生物質のゲンタマイシンも入っています。
リンデロンVGのGはゲンタマイシンのことです。
ちなみにVは、ベタメタゾンのVではなく吉草酸のVです。
※ベタメタゾン吉草酸エステル:betamethasone valerate
なお、リンデロンシリーズは他にも種類があります。
「リンデロン」というブランド名だけで判断しないようにしましょう。
リンデロンシリーズの違いは以下でご確認ください。
ステロイドのランクについては以下の記事にまとめています。
リンデロンAやリンデロン点眼点鼻点耳液の成分は、Ⅴ群程度だと考えておけば良いと考えます。
調剤をしていると、化膿止めが必要なさそうなのにリンデロンVGが処方されていることも少なくありません。
そこで気になるのが「耐性菌」です。
飲み薬の抗生物質の使用により耐性菌を生み出し、結果として薬が効きにくい感染症を生み出してしまうことがあります。
外用抗生物質なら耐性菌を気にしなくても良いのでしょうか?
外用抗生物質による耐性菌
結論から言うと、外用の抗生物質でも耐性菌を生み出します。
以下の報告では、1999年から2013年の間でフシジン酸(抗生物質)使用が増加し、フシジン酸耐性も17%から29%まで増加しています。
参考:High usage of topical fusidic acid and rapid clonal expansion of fusidic acid-resistant Staphylococcus aureus: a cautionary tale.
ニキビの治療に抗生物質の塗り薬をある程度の期間使うことは珍しくありませんが、マクロライド耐性なども問題になっています。
参考:Systematic review of antibiotic resistance in acne: an increasing topical and oral threat.
飲み薬の抗生物質は処方せん医薬品扱いですが、外用の抗生物質は市販薬にもあり、耐性化も気になります。
※なお、市販の有名ニキビ治療薬には抗生物質は入っておらず、殺菌成分が入っています。
リンデロンVGのGことゲンタマイシンに関しても、同様に注意は必要だと考えます。
アトピーの湿疹には外用抗生物質が効果的な可能性
一方で、アトピー性皮膚炎の方の湿疹の治療には、外用ステロイド単剤よりも、外用ステロイド+抗生物質の方がわずかに良いとされるデータもあります。
コクランの報告ですが、エビデンスの質は低いとしています。
参考:Interventions to reduce Staphylococcus aureus in the management of eczema.
アトピーの湿疹部位には黄色ブドウ球菌が多いことが以前から知られています。
そして、黄色ブドウ球菌はアトピー性皮膚炎の重症度に関連があるとも言われています。
参考:Staphylococcus aureus density on lesional and nonlesional skin is strongly associated with disease severity in atopic dermatitis.
そのため、アトピー性皮膚炎の方の湿疹の治療においては、リンデロンVGのような、外用ステロイド+外用の抗生物質を使用されるケースもあるのでしょう。
もちろん、耐性菌のことを考えなくて良いというわけではありません。
リンデロンVGの処方を受けるたび、「リンデロンVで良いのでは?」と思うことがあったので、調べてみてちょっとだけすっきりしました。
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