子どもが薬を嫌がる理由と年齢別の対応方法【無理やり飲ませないことも重要】

子どもが薬を嫌がる理由と年齢別の対応方法【無理やり飲ませないことも重要】

子どもは薬を嫌がることが多いのは、多くの保護者の方が実感出来ていると思います。

「この前までは大丈夫だったのに、昨日から急に飲まなくなった。」ということも度々耳にします。

 

子どもは日々成長しており、味覚や好みも変わっていきます。

そして、薬を嫌がる理由も多々あり、あまり単純とは言えません。

子どもが薬を嫌がる理由や、年齢別の対処方法など、私個人の知識と経験に依るものではありますが、まとめてみたいと思います。

誰一人同じ人間がいないのと同様、絶対に成功する薬の飲み方もありません。

しかし、成功率が高い飲み方はあります。

子どもが薬を嫌がる理由とその対策

まずは薬を嫌がる理由も色々あることを理解しておきましょう。

「美味しくないから拒否している」と一方的に思い込んでしまうと、色々と対策が不十分になりかねません。

 

嫌がる理由として多そうなのは、以下のような事が多いのではないかと。

  • 美味しくないから(個人差が大きい:苦いのが嫌、酸味が嫌、甘いのが嫌)
  • 満腹だから(大人も嫌ですよね)
  • 無理やり飲まされるから(理由が理解出来ない、親が飲まないことを怒る)
  • 体調が悪いから

原因が1つだけの場合もありますし、複数の要因が重なっていることもあるでしょう。

 

ご家庭で特に気にしたほうが良いのは、以下の内容だと考えます。

  • (まずい場合は)味をなんとかする
  • 満腹時の服用を避ける
  • 無理やり飲ませない

順番に説明します。

味の工夫

薬は原則水で飲むことが重要ですが、子どもが毎回水で飲んでくれるわけではありません。

事前にどんな味なのかを聞いておくこと、飲ませやすい方法を確認しておくことが大切です。

 

薬の種類によっては混ぜてはいけないものもあります、それも合わせて確認しておきましょう。

 

「薬は毎回何かに混ぜて飲む」ようにされている場合、その「何か」と相性が悪くないか(苦くなるor効果が落ちる)の確認も重要です。

服薬補助ゼリーやアイスを「苦い薬を飲むときだけの特別なもの」としておくと、特別感が出て飲んでくれることもあります。

いつもアイスを食べている子は、薬を混ぜたアイスよりも、普通のアイスのほうを好むのは明らかですよね。

 

苦い薬が出ていない時に、「そのままでも飲める薬」を作っておくことは今後の服薬の助けになると思います。

粉薬が口に残ったザラザラ感を嫌がることもあるので、服薬後にもう一度水を飲めるとなお良いです。

満腹をさける

薬は原則として指示されたとおりに飲む必要があり、勝手に変えて良いわけではありません。

一方、子どもは胃が小さく、加減がわからないこともあり、満腹になりやすいです。

どうしても、「満腹になったあとに食後の薬を飲む」ということは起こります。

 

大切なのは、「必ず食後に飲まなければいけない薬なのか」を確認しておくことです。

小児の医師はそのことに配慮されており、「朝夕・食前食後問わず」などの指示をされることも多いです。

 

子どもの一般的な病気の場合、食前・食後の影響が大きい薬はそこまで多くはありません。

もちろん、指示通りに飲むことが重要な薬もたくさんあるので、そこを自己判断するのはおすすめ出来ません。

無理やり飲ませない

「無理やり飲ませない」ことは難しいこともありますが、最も重要なことだと考えています。

適切なやり方も1つではなく、子どもの性格に合わせて一番良い方法はバラバラだと強く感じます。

「自分の意思で飲む」ように、時間をかけてでも仕向けていくことが重要です。

 

是非、飲めないことを怒らないでいただきたいと思います。

 

飲んでもらいたい気持ち、飲ませなければいけないという気持ちは強く理解できます。

しかし、親の焦り・怒りは絶対に子どもに伝わります。

出来るだけ負の感情を出さず、笑顔で接したほうが子どもも安心してくれると思いませんか?

 

だからといって、飲まなくて良いというわけではありません。

少しでも自発的に飲んでもらう方法を探しましょう。

いくつか例を挙げてみますので、組み合わせたりして試してみましょう。

薬を飲む意味を理解してもらう

難しい話は理解できなくても「薬を飲んだら病気が治る」などのニュアンスだけなら3歳に近づく頃には多少なり理解はしてもらえます。
※現実としては、薬を飲まなくても治る病気もありますが、小さい子に薬を飲んでもらう方法として使うのはアリだと思います。

「薬を飲んだから治った」ということを普段から大げさに伝えておくと、いざという時に納得してもらえる可能性が上がります。

気分を盛り上げる

嫌がりながらも少しでも飲めたら、すかさず大げさすぎるほど喜んだり褒めてあげましょう。

家にある人形などを利用するのも良い手です。

 

ご褒美については、ほどほどであれば良いと思います。

一方で、「薬を飲む=ご褒美」と考えてしまうこともあり、「ご褒美がなければ薬を飲まない」となることもあります。

毎回できる程度のご褒美にしておきましょう。

 

「薬を飲まなかったから遊ぶの禁止」などの罰は個人的にはおすすめしません。

薬を飲めなかったことに対しての、「悲しい・残念」というアピールは大げさにしても良いと思います。

そして時間を空けてもう一度チャレンジなど、根気よくやっていきましょう。

【年齢別】子どもへの薬の飲ませ方

子どもが薬を嫌がる理由を踏まえた上で、成長に応じた対策をすることも効果的です。

成長は人それぞれなので、あくまで目安として捉えてください。

新生児~1歳ごろ

おもちゃを口に入れたりする時期なので、口に異物を入れられても本能的に飲み込むことも多いです。

1歳に近づいてくると苦味を嫌がることが増えてきますが、それまでは味覚も成長段階なので、苦い薬でも問題なく飲めることがあります。

そのため、薬を飲ませることはそこまで難しくないことが多いです。

 

この時期の飲み薬はシロップと粉薬がほとんどでしょう。

シロップはそのまま、粉薬は出来るだけ少ない量の水で溶かしてシロップ状にして、スポイトや小さいスプーンなどで飲ませます。

スポイトを使う場合は、横抱きにして、頬の内側あたりに落とすようにすると良いでしょう。

 

溶かすよりもゆるく固めたほうが表面積が減るので、味を嫌がる場合などにおすすめです。

それでもだめなら、1歳以降の内容を参考にしてみてください。

1歳~3歳頃

味覚が発達してくると、苦いとかザラザラが嫌など、色々な理由で薬を嫌がることが増えます。

以前に飲めた方法でも飲めないということも出てきます。

薬を飲まなければいけない理由も、なんとなくしか理解できません。

 

最も薬を飲ませにくく、苦い薬を嫌がることも多い時期だと言えます。

 

どうしても飲めない場合には、水以外のものと混ぜて飲ませることも検討しましょう。

服薬補助に使えるものも増えてくる時期ですが、薬ごとに何に混ぜて良いのかは異なります。

効果が落ちるからジュースと混ぜてはいけないものもあれば、味が悪くなるからジュース混ぜないほうが良いものもあります。

薬である以上、効果が出なければ飲ませる意味がありません。

 

また、無理やり飲ますことが多くなるのもこの時期ですが、次回以降が大変になることも多いです。

「結果的に飲めたから良い」というわけではないことも知っておきましょう。

前項で紹介した「嫌がる理由」を多く満たす時期ですので、より慎重な服薬補助が大切です。

4歳頃~

薬を飲む理由を簡単には理解することができるようになり、苦い薬でも我慢して飲めることが増えてきます。

一方、「薬じゃないよー」と言って嘘をついても気づかれ、不信感に繋がることもあります。

しっかりと話をして、自発的に飲むための意識付けをしていきましょう。

 

粉薬を口に入れ水で流し込むなどの新しいチャレンジで、子ども心をくすぐるのも良い手です。

今まで水では薬が飲めなかった子も、水で飲めるようにチャレンジしていきましょう。

 

5歳ぐらいを目安に錠剤をチャレンジしてみるのも良いかもしれません。

保護者の方への注意点

ここまでで説明したように、子どもが薬を嫌がる理由も様々ですし、成長に応じても変わってきます。

しかし、「無理やり飲ませない」ことが一番重要だと考えています。

 

前回無理やり薬を口に突っ込まれた→今回も苦い薬を無理やり飲まされるに違いない→「絶対にヤダ」とギャー泣き→最初に戻る

一度このような状況になってしまうと、なかなかそのループから抜け出せなくなります。

 

大人でも納得しなければ薬を飲まないことがありませんか?

糖尿病や高血圧を指摘されても、自分は大丈夫だと定期受診をせず、症状を悪化させていく方もいます。

手間の問題、金銭的な問題、週刊誌の影響など色々な要因があるかも知れません。

もしかしたら、医師や医療全体に対しての不信感などもあるのかもしれません。

 

きっと、子どもも同じで、納得しなければ薬を飲めません。

大人よりもシンプルで、美味しくないからとか、今はそういう気分じゃないからということもあるんだと思います。

理由を理解してもらうことはたしかに難しいですが、理解できる程度の説明(薬を飲んだから病気が治るなど)は必要だと感じます。

「前に無理やり薬を飲まされたから嫌だ」という気持ちもあるでしょう。

 

剤形の希望を聞いていくれる医師の場合、その選択も重要です。

ある程度大きくなり、はっきりと希望を伝えれる場合は別ですが、小さい子の場合は親の選択次第となることもあります。

 

保育園などがあるので、昼の薬を飲めないなどは受診時にしっかり伝えましょう。

結果として、1回あたりの服用量が増えて大変になる、苦い薬になることなどもあります。

しかし、昼にどうしても飲ませることが出来ないのであれば、その分朝夕の服薬の重要性は増します。

 

このように、子どもが薬を飲みやすくするためには、保護者の方の対応の仕方も重要になります。

しかし、子どもが薬を飲まないことを自分のせいだと強く責任を感じてしまうのもまた問題です。

必死になればなるほど、その気持ちが子どもにも伝わります。

ここまでで紹介したようなことは全てやってみたけど、それでも飲めない場合もあるかもしれません。

どうしても飲めないとき

どれだけ工夫しても絶対に飲んでくれないというケースもあるかもしれません。

それでも「無理やり」は出来るだけ避けましょう。

 

今飲んでくれない理由に「嫌がっているのに無理やり飲まされた経験」、「ダダをこねたら飲まなくて良くなった経験」などがあれば、さらに逆効果になります。

無理やり飲ませても、飲み込んでくれなかったり吐いたりして、結局無意味になってしまうこともあります。

 

薬を飲ませるのが毎回お母さんというご家庭は、一度お父さんにやってみてもらうと良いかも知れませんよ。

いつもと違うやり方を試すことも大切です。

 

どうしても飲めない場合、「絶対に飲んでほしい薬」と「出来れば飲んで欲しい薬」をしっかりと医師に区別してもらうことが重要です。

飲んだほうが良い薬かどうかは、その時の状態に応じて変わりますし、診断した医師しか判断が出来ません。

必ず受診時に確認しておきましょう。

同時に、混ぜて良いものの確認や、飲むタイミングが指示通りでなくても良いのかも確認しておきましょう。

 

そもそも薬を飲まなくても良いような準備や健康管理をするのが理想的です。

病気を完全に防ぐことは出来ませんが、小さい頃から手洗いの習慣を付けておくことである程度予防が出来ます。

インフルエンザなどの任意の予防接種も重症化の予防に繋がります。

 

子どもに服薬してもらうことは、とても大変になることもありますが、焦らず・怒らず、色々と試してみていただきたいです。

「苦手を克服することは子どもの成長にも繋がる」と、ポジティブに考えることも大切です。