元気な赤ちゃんを産んでもらうにあたって、妊娠する前から最低限意識してほしい栄養である【葉酸】について説明します。
なぜ葉酸が大切かというと、以下の理由があります。
- 葉酸は二分脊椎症などの神経管閉鎖障害のリスクを減らします。
- 現代の働く日本人女性は終戦直後よりも栄養状態が悪いと言われています。
- 日本では二分脊椎症の発生率は上昇傾向にあります。
- 十分量の葉酸を食事から摂取するのは少し大変です。
これらの理由により、妊娠前から意識的に葉酸を摂取するようにしたほうが良いと考えます。
食事で摂取するのが難しいようなら、サプリメントも検討しても良いと思います。
後半に比較的おすすめ出来そうな商品も紹介しています。
2種類の葉酸の違いを区別しよう【はじめに】
「葉酸」には2種類のタイプがありますが、たまに専門家にも混同されています。
積極的な葉酸摂取を検討している場合は、「食事用葉酸」と「モノグルタミン型葉酸」について区別しておきましょう。
食事用葉酸は、一般的な食事から取れる葉酸のことで、一般的な葉酸の摂取量の目安についても、食事用葉酸として240μg/日と設定されています。
対して、サプリメントなどに含まれていることが多いのはモノグルタミン型葉酸です。
妊娠の1か月前から3か月までの間に追加として望まれている400μg/日や、耐用上限量として設定されている1000μg/日は、モノグルタミン型葉酸換算になります。
摂取量の目安(240μg/日)と、妊娠に関連して追加することとされている(400μg/日)は、単位こそ同じですが、基準とされている葉酸の種類が違います。
そして、食事用葉酸の利用効率は、「モノグルタミン型葉酸」の50%ほどとされています。
妊娠の1か月前から3か月までの間の推奨量は、通常の食事分に加えて、「モノグルタミン酸型の葉酸」で 400μg/日摂取です。
これは、食事用葉酸換算だと800μg/日摂取ということです。
妊娠前から葉酸を意識して摂取しましょう
葉酸は胎児の二分脊椎症などの神経管閉鎖障害のリスクを減らすことがわかっています。
妊娠の1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月ごろまでは葉酸を多めに摂取したほうが良いとされています。
具体的には「普段の食事に加えて、(モノグルタミン型)葉酸を400μg摂取する」ことを推奨されています。
食事用葉酸800μg相当ですので、かなり意識して葉酸を摂取しないと困難と言えます。
厚労省調べでは、現代の働く日本人女性は「終戦直後よりも栄養状態が悪い」です。
そんな中、葉酸が十分に足りているとは考えにくいです。
また、日本では二分脊椎症の発生率は上昇傾向にあります。
アメリカでは小麦粉などの穀物類へ葉酸を添加することが義務付けられています。
そのおかげかはわかりませんが、二分脊椎症の発生率は日本よりも低いです。
日本も同様にすべきかどうかは、議論の余地があると思いますが、海外ではそれほど葉酸が重視されているのも事実です。
妊娠の可能性があるなら葉酸を積極的に摂取することは大切だと考えます。
食事で取れる方は、食事で取るのがベストです。
食事では無理な方は、葉酸サプリも検討しましょう。
マルチビタミンや微量栄養素も一緒に検討
葉酸以外にも鉄分やカルシウムは妊婦さんに不足しがちなので、サプリメントを飲むならまとめて摂取しても良いと考えます。
葉酸以外に気にした方が良いかもしれないものとしては、マルチビタミンや微量栄養素(鉄分やカルシウムを含む)があげられます。
その理由としては、以下のような報告があります。
参照:Association of Maternal Use of Folic Acid and Multivitamin Supplements in the Periods Before and During Pregnancy With the Risk of Autism Spectrum Disorder in Offspring
参照:Association of Antenatal Micronutrient Supplementation With Adolescent Intellectual Development in Rural Western China 14-Year Follow-up From a Randomized Clinical Trial
胎児に良いことをすべてやろうと思うとキリがありません。
しかし、せっかく葉酸サプリを飲むのであればマルチビタミンや微量栄養素が入っているものを検討しても良さそうです。
葉酸と薬の飲みあわせについて
- クリックで開きます。
- 葉酸サプリに含まれる葉酸の量なら、ほとんどの薬に対しての影響はないと言えます。
しかし、抗てんかん薬や抗リウマチ薬などの一部には影響を与える可能性も否定できません。
治療中の病気がある方は、葉酸を服用して良いのかを主治医に確認するようにしましょう。
反対に、薬が葉酸の吸収低下などに関与する可能性もあります。
影響を与えそうな薬を一部抜粋しました。
葉酸の吸収に影響を与える可能性のある薬(一部抜粋)
メトトレキサート、サラゾスルファピリジン、トリメトプリム、抗てんかん薬(一部)、胃薬(制酸剤、PPI、H2ブロッカー)、メトホルミン、アスピリン、ピコスルファート
影響の大きさは薬により異なりますが、一部の抗てんかん薬などは影響が大きいです。
てんかん診療ガイドライン2018にも、一部の抗てんかん薬は血中葉酸濃度を低下させることが知られているので、適量の葉酸の補充が望ましいとされています。
てんかん治療中で妊娠希望の方は、葉酸の摂取を検討した方が良いでしょう。
アルコールも葉酸の吸収や代謝影響があるので、飲み過ぎにはご注意下さい。
薬に対しての影響はほとんどないと思いますが、薬やアルコールによる葉酸の吸収低下の影響はあると言えそうです。
葉酸サプリの選び方【おすすめはエレビット】
葉酸サプリはどうやって選べば良い?
サプリメントや健康食品は【薬】ではありません。
何かを治療するものではなく、劇的な効果を得れるものでは無いことは忘れないようにしましょう。
これはすべてのサプリメントや健康食品に共通することです。
また、サプリメントの品質基準は、医薬品と比べるとかなり甘いです。
「天然成分だから安心」と書かれているものもありますが、自然界にも毒はたくさんありますし、劣悪な環境もあります。
サプリメントの良し悪しは、【必要な成分量が入っているか、そして信頼できそうな会社が作っているかどうか】でしか判断が出来ないと考えています。
葉酸サプリはエレビットがおすすめ
その中で、私があえておすすめするなら、バイエルという有名製薬メーカーが作っている【エレビット】です。
エレビットであれば、葉酸はもちろん、マルチビタミンや微量栄養素も幅広く摂取できます。
エレビットは葉酸の量が800μgと推奨量より多く含まれています。
その理由はエレビットのホームページで以下のように紹介されています(一部抜粋)。
- 約7割の日本人女性は葉酸をきちんと利用できない体質
- 厚生労働省は葉酸摂取量の上限を1日あたり1,000μgと設定
- 葉酸は水溶性ビタミンであり、必要量以上を摂取したとしても、直ぐに尿中へ排出される
葉酸は水溶性ビタミンですので、この量で問題になる可能性は低いでしょう。
ビタミンや微量栄養素などが明らかでないサプリメントも多い中、エレビットは栄養成分表示がはっきりわかっているのもポイントです。
エレビットのビタミン・ミネラルの成分量(1日分)は以下の通り。
- エレビットの栄養表示(クリックで開きます)
- 葉酸 800µg
- ビタミンB1 1.3mg
- ビタミンB2 1.5mg
- ナイアシン 12mg
- ビタミンB6 1.4mg
- ビタミンB12 2.8µg
- パントテン酸 5.0mg
- ビオチン 50µg
- ビタミンC 100mg
- β-カロテン 7,200µg
- ビタミンD 7.0µg
- ビタミンE 6.5mg
- カルシウム 125mg
- マグネシウム 100mg
- 鉄 21.5mg
- 亜鉛 7.5mg
- 銅 0.9mg
- マンガン 1.0mg
本業に大きな損害を出してしまう可能性があるため、品質管理はしっかりせざるを得ないでしょう。
エレビットは一部の産婦人科で販売もされています。
ピジョンの葉酸は安価で続けやすい
ピジョンの葉酸も比較的安心できると思います。
エレビットと比較するとビタミンの種類が少ないですし、マグネシウム・亜鉛・銅・マンガンなどの微量栄養素が含まれていません。
値段がお手頃で、続けやすい葉酸サプリだと思います。
妊娠前から葉酸おすすめする理由【まとめ】
妊娠の可能性があるのであれば、妊娠する可能性のある1ヶ月前からは十分に葉酸を摂取しましょう。
可能であれば、マルチビタミンや微量栄養素の摂取も検討しても良いかもしれません。
葉酸を利用できる体質(約3割)であれば、一般的な葉酸サプリに多い「モノグルタミン酸型葉酸400μg含有の製品」で十分でしょう。
葉酸をうまく利用できない7割の体質の方にとってはエレビットであれば十分量の葉酸が摂れそうです。
3割の方だったとしても、エレビットでモノグルタミン型葉酸を800μg摂取した場合、食事用葉酸として400μg(=モノグルタミン型葉酸として200μg)摂っても上限に達しません。
日本人の平均的な葉酸摂取量では、食事用葉酸として400μgに届きません。
食事に気を使うのが難しい場合などはまず問題になることは無いでしょう。
最後に個人的な意見をまとめます。
食事でしっかり葉酸が取れる人はサプリメントに頼る必要はありません。
食事には気を使っているけど、十分量の葉酸が取れない人は葉酸サプリも検討しましょう。
エレビットほどの葉酸量は要らないかもしれません。
食事に気を使えない場合はエレビットも選択肢に入ると思います。
葉酸サプリを飲むのであれば、必要な成分量が入っているか、そして信頼できそうな会社が作っているかどうかという視点は持っておいた方が良いと思います。