ペリアクチンの味や特徴・眠気などの副作用について【小児量は?食欲亢進?】

ペリアクチンの味や特徴・眠気などの副作用について【小児量は?食欲亢進?】

以前より少なくなってきたとは言え、ペリアクチン散・シロップが子どもに使われることはあります。

しかし、個人的には子どもに使う場合には気を付けたほうが良い薬だと考えています。

ペリアクチンの特徴や、個人的に気になっている点についてまとめます。

ペリアクチンの特徴【ぜんそく、けいれん歴がある場合は注意】

ペリアクチンは第一世代抗ヒスタミン薬に分類される薬で、アレルギーを抑えます。

鼻水が出る・かゆみがある・蕁麻疹が出ている時などにも使われたりしています。

 

私が薬剤師になった頃は、ペリアクチンは子どもに処方されることも多かった印象があります。

しかし、最近は使用されることも少なくなってきました。

 

その理由として、低年齢でも使えるペリアクチンよりも安全性の高い抗ヒスタミン薬の選択肢が増えたことが大きいと考えています。

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ペリアクチンの特徴として、鎮静作用が高いこと、抗コリン作用があること、などが挙げられます。

アレルギーを抑える抗ヒスタミン薬の中でも鎮静作用には差があります。

ペリアクチンはその鎮静作用が強いために、眠気が強く出ることがあります。

 

また、抗コリン作用があるので、口内が乾きやすかったり、ぜんそくに影響を及ぼすことがあります。

※ぜんそく急性発作時には禁忌、ぜんそく歴がある方は慎重投与となっています。

 

また、鎮静作用が強い抗ヒスタミン薬は、熱性けいれんを誘発する可能性もあります。

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ペリアクチンが子どもの風邪で処方される理由

安全性の面ではペリアクチンを積極的に使う理由は乏しいですが、ペリアクチンが風邪の時に使用される理由として「保険上の適応」があります。

風邪の診断時に使える抗ヒスタミン薬はかなり限られています。

 

つまり、風邪の時に「鼻水を止めて欲しい」と希望されると、保険適応上ペリアクチンを選択肢に上げざるを得ないという面があります。

より子どもへの安全性が高い抗ヒスタミン薬は、軒並み風邪には使えないのです。

 

ここでもう一つ知っておいて欲しいことがあります。

子どもが風邪を引いた時には、抗ヒスタミン薬の効果はあまり期待出来ません。

気道粘液の分泌を抑えて痰が出しにくくなったり、結果として咳が強く出るなどのデメリットの方が大きい可能性もあります。

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鼻水が出て受診した際にアレルギーではなく、風邪との診断だった場合は、鼻水を抑える薬はあえて希望しないほうが良いかもしれません。

風邪の鼻水に薬は必要ないという感覚を持つのも大切です。

ペリアクチンの味・小児量の目安

ペリアクチンには以下の種類があります。

  • ペリアクチン錠4mg
  • ペリアクチン散1%
  • ペリアクチンシロップ0.04%(ジェネリック:シプロヘプタジン塩酸塩シロップ0.04%「武田テバ」)

ペリアクチンの原薬には苦味があるため、粉薬もシロップもわずかに苦味を感じる味です。

 

シロップには色々添加物を入れて苦味が目立たないように工夫されています。

対して、粉薬の添加物は乳糖のみですが、そこまで苦いとは感じません。

 

なお、ペリアクチンには明確な小児量の設定がありません。

そのため、ペリアクチンの小児量は‌Augsberger式などを用いた目安量で処方されることが多いです。

Augsberger式を用いた目安量
※全て1回量での記載、1日1~3回
ペリアクチンシロップはmL、ペリアクチン散は製剤量(g)で記載2歳~4歳未満:1回3mL(0.12g)
4歳~7歳未満:1回4mL(0.16g)
7歳~10歳未満:1回5mL(0.2g)
10歳~12歳未満:1回6.5mL(0.26g)
15歳~:1回10mL(0.4g)

私の経験上、これよりも多めの量で処方される印象があります。

ペリアクチンの眠気などの副作用【食欲亢進作用は?】

添付文書によると、ペリアクチンの副作用は以下のように報告されています。

総症例1,529例中,282例(18.44%)に副作用が認められた。その主なものは,眠気234件(15.30%),倦怠感25件(1.64%),口渇12件(0.78%),頻尿12件(0.78%)であった。

 

最も副作用の報告数が多いのは眠気です。

ペリアクチンは他の抗ヒスタミン薬よりも眠気は出やすい可能性があります。

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新生児への投与で、無呼吸・チアノーゼ・呼吸困難例などの報告があるため、新生児や低出生体重児などは投与しないこととされています。

 

また、過量投与にも注意が必要で、添付文書には以下のように記載があります。

中枢神経症状,アトロピン様症状,消化器症状があらわれるおそれがある。特に乳・幼児では中枢神経症状があらわれるおそれがあるので注意すること。

どうしてもペリアクチン以外を選択出来ないケースを除けば、あえて乳幼児にペリアクチンを選択する必要はほぼないと考えています。

 

また、頻度は低いですが、食欲亢進(食欲が増える)ことがあるとされています。

実は以前にペリアクチンは「食欲不振・体重減少の改善」に使われていた時期がありました。

しかし、1996年の再評価時に有用性が認められず、効能から削除されています。

食欲亢進の副作用報告数も少ないですし、効果はそこまで期待出来ないと考えます。

風邪の鼻水には抗ヒスタミン薬より鼻水吸引

個人的にはペリアクチンは子どもに適している薬だとは考えていません。

症状の程度によりますが、もっとリスクの少ない選択肢があります。

風邪による鼻水に抗ヒスタミン薬は有効とは言えませんし、子どもが風邪を引いた時の薬に必須とされる薬はないと考えています。

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感染症で鼻水が出ている場合は、薬を使って鼻水を止めるのではなく、鼻水を取り除くことが大切です。

鼻がかめない年齢でも、専用の機器を使って鼻水の吸引をすることは出来ます。

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