咳がある、痰が出る、鼻水が詰まっている、中耳炎などの症状がある時にアンブロキソール(ムコソルバン、プルスマリン、ムコサール)などがお子さんに処方されたことがあるかもしれません。
比較的飲みやすい味ですし、副作用や相互作用なども気にすることは多くない薬です。
しかし、使用頻度が高いせいもあって、相談を受けることも多いです。
アンブロキソールについて書いていきます。
アンブロキソールの効果【カルボシステインとの違い|併用することも】
アンブロキソールは気道潤滑薬に分類される薬で、気道の滑りを良くすることで痰や鼻水を出しやすく(詰まりにくく)します。
一時的に痰や鼻水が増えたように感じることもあります。
よく比較される薬としてカルボシステインがあります。
カルボシステインは気道粘膜修復薬に分類されており、気道粘膜の分泌を抑制したり、痰の粘りを減らしたりする効果があります。
アンブロキソールとカルボシステインは、大まかに言えば、どちらも痰や鼻水を出しやすくする薬と言えます。
使い分けられることもあれば、併用することもあります。
小さい子どもにも使用されることも多い薬です。
アンブロキソールの副作用【下痢や眠気の相談がある】
錠、液、シロップ及びLカプセルを併せた総症例33,196例中副作用(臨床検査値の異常変動を含む)が報告されたのは221例(0.7%)であり、主な副作用は、胃不快感34件(0.10%)、嘔気27件(0.08%)等の消化器症状で、副作用全体の約60%であった(全剤形共に、承認時及び再審査終了時までの集計)。
引用:ムコソルバン添付文書
アンブロキソール製剤は副作用頻度が少なく、軽度のものが多い印象があります。
下痢になるというのも何度か聞いたことがあります(因果関係は不明です)が、頻度は0.1%未満と高くありません。
眠気の相談を受けることもありますが、添付文書には記載がありません。
アンブロキソールの相互作用や飲みあわせ
他の薬との相互作用などは特に報告されていませんが、あえて上げるとすれば、ブロムヘキシン(ビソルボンなど)です。
ブロムヘキシンの活性代謝物がアンブロキソールになるので、成分が重複する可能性が考えられます。
とはいえ、アンブロキソールの過量投与に関する情報は特になく、重複して大きな問題になる可能性は低そうではあります。
味の相性という面では、一部のアンブロキソール製剤とカルボシステインの組み合わせは少し苦味が目立つことがあります。
また、飲み物との相性としては、酸味が強いもの(スポーツドリンクやオレンジジュースなど)と混ぜると苦みが目立つことがあります。
アンブロキソール製剤の種類と味
粉薬はヨーグルト風味が多く飲みやすい
アンブロキソールの粉薬には以下の種類があります。
- 小児用ムコソルバンDS1.5%
- ムコサールドライシロップ1.5%
- アンブロキソール塩酸塩DS小児用1.5%「タカタ」(旧名:プルスマリン)
- アンブロキソール塩酸塩DS3%「タカタ」
- ムコソルバンDS3%
ドライシロップは1.5%製剤と3%製剤があり、子どもに使われるのは主に1.5%製剤です。
1.5%製剤3種類の味を比較すると、どれも飲みやすい味です。
あえて選択するなら、個人的にはムコサールドライシロップが一番飲みやすいと感じています。
アンブロキソール塩酸塩DS小児用1.5%「タカタ」:甘みもしっかりあるが、苦味が目立つ
ムコサールドライシロップ1.5%:ヨーグルト味で、ムコソルバンよりも苦味が目立たない
シロップは後味に苦み
アンブロキソールのシロップ製剤には以下の種類があります。
- アンブロキソール塩酸塩シロップ小児用0.3%「トーワ」など
- アンブロキソール塩酸塩シロップ小児用0.3%「タカタ」(旧名:プルスマリン)
- 小児用ムコソルバンシロップ0.3%
シロップ剤は原薬の苦味が隠し切れておらず、全体的に後味は苦めです。
冷蔵庫で一日以上置きっぱなしにしておくと添加物の結晶が析出することがあるようです。
基本的には遮光の上、常温保存が望ましいでしょう。
なお、薬局で4℃の冷蔵庫で1週間放置したところ結晶は析出しませんでした。
錠剤はバラバラ
アンブロキソールの錠剤・カプセル剤は大きさも特徴もバラバラです。
- アンブロキソール塩酸塩錠15mg
- アンブロキソール塩酸塩徐放OD錠45mg
- アンブロキソール塩酸塩徐放カプセル45mg
15㎎錠は小型で飲みやすいサイズです。
OD45mgは大きい錠剤ですが、口で溶けるようになっています。
カプセルは比較的大きいサイズです。
子どもに使用されるとすれば、15㎎錠は小学校の高学年ぐらいから使われるケースもあるかもしれません。
子どもは上手く鼻水をかめないので、鼻水や鼻づまりに悩まされて病院に受診することも珍しくありません。
アンブロキソールには痰や鼻水を出しやすくする効果は期待できますが、それでも鼻水が詰まっている場合には鼻水を吸ってあげることもできます。
鼻水吸引器には、口で吸うタイプと電動のタイプがあります。
個人的には電動鼻水吸引器をおすすめしていますが、1万円程度と安くはないため、最初は口で吸うタイプを選択しても良いかもしれません。
それぞれ別に記事にしていますので、気になる方は以下からご覧ください。
小さい子どもは鼻をかめないので、鼻吸い器を必要とする機会は少なくありません。その中でも広く使われている「ママ鼻水トッテ」の使い方や、良い点と気になる点、我が家での使用体験と患者さんの口コミなどをまとめました。良い評価も悪い評[…]
子どもが夜中に咳き込んで痰を吐くことがありませんか?その時に鼻水も多く出ているようであれば、鼻水が喉の方に落ちていって(後鼻漏)、その鼻水によって咳や嘔吐につながっているかもしれません。 我が家には口で吸う[…]