小さいの子の解熱剤として使われることの多い、アンヒバ・アルピニーなどのアセトアミノフェンが成分の坐薬について説明します。
以下の商品名の坐薬は全てアセトアミノフェンの坐薬です。
- アンヒバ坐剤
- アルピニー坐剤
- カロナール坐剤
- パラセタ坐剤
- アセトアミノフェン坐剤
アンヒバやアルピニーで通じる方が多いため、その2種類の名前を使用していますが、上記の坐薬も基本的に同じです。
子どもの解熱剤に坐薬が多用されるのはなぜ?
小さい子でも飲み薬を使うことは珍しくありませんが、解熱剤は坐薬が使われることが多いです。
その理由としてはいくつかありますが、主に以下の2つだと考えます。
- アセトアミノフェンは苦い
- 発熱時は嘔吐などで食事を受けつけない事もある
もちろんそれ以外にも坐薬ならではのメリット・デメリットもあります。
坐薬はおしりに入れるだけ。一見簡単そうですけど、いざ我が子に使おうとすると結構勇気がいりますよね。 私は薬剤師なので、それまでに何度も坐薬の使い方を患者さんに説明していましたが、初めて自分が息子に坐薬を入れ[…]
アンヒバ・アルピニーの使い方・注意点【入れなおしても良い?】
熱を下げる目的で坐剤を使う場合、通常は必要時のみ使用します。
症状によっては定期的に使用することも稀にあるかもしれません。
アセトアミノフェンは通常、10~15mg/kg使用します(※成人量を超えない)。
投与間隔は4~6時間空け、1日の限度量は60mg/kgとなります。
適正な一回量を4時間毎に使用すると、1日の限度量を超えることがあります。
基本的には6時間程度は空けたほうが良いと考えます。
なお、成人の風邪に使う場合の1日の限度量は1500mgです。
200mgの坐剤を4時間毎に入れれば1日量1200mgになり、大人の限度量に近づくという点も注意をしておきましょう。
坐薬を入れた直後に便をしたら再度入れるかどうかなど、色々な迷いが出てきます。
使用前に排便を済ませておいたほうが良いと言われますが、小さい子に子どもにそれを強いるのは無理がありますね。
そのままの形で出てきたら、再度入れ直しても良いと考えます。
アンヒバ・アルピニーの体重別適正量一覧【できるだけ切らずに使うには】
解熱の坐薬は「○分の▲に切って使うように」という指示をよく見かけます。
しかし、切るのは手間もかかりますし、衛生面少し気になります。
可能であれば、切らないほうが良いと考えています。
実際、アセトアミノフェンの坐薬には、50mg、100mg、200mg、400mgの規格があるため、ほとんどの体重で切らずに使えます。
※400mgの規格があるのはカロナール坐剤のみで、アンヒバやアルピニーなどは50、100、200の3種です。
通常量(10~15mg/kg)を守りつつ、出来るだけ切らずに使う場合には、以下を一つの目安だと考えます。
※実際に使用する際には、医師の指示を守って使用してください。
切る場合は以下を参考にどうぞ。
アセトアミノフェン坐剤「JG」の指導せんを参考にしています。
容器のまま切ったほうが簡単です。
アンヒバ・アルピニーのよくある質問
つらそうなら使ってあげても良いでしょう。
アンヒバ・アルピニーなどに期待できる効果は、「数時間体温を1~2℃下げること、痛みを抑えること」です。
40℃熱が出ている時に使っても38℃台になる程度の効果しかありません。
※その数℃の差で一時的に体調が楽になることはあります。
他の疾患を防いだり、風邪を早く治したりする期待は出来ません。
また、解熱剤を使ったから風邪が長引くことも否定されています。
「解熱剤を使わないといけない」、「解熱剤を使ってはいけない」と強く考えている方もいますが、そこまで大げさに捉える必要はあまりないでしょう。
つらそうにしているなら使ってあげれば良いと考えています。
多い質問は、以下の記事に詳しくまとめています。
熱を下げたり痛みを抑える目的で使われるアセトアミノフェンについて気になる点をまとめました。主な内容は以下の通りです。今回のポイント・効き始めるまでの目安時間は30分弱~1時間・効果持続目安時間は4時間弱・[…]
アンヒバ・アルピニーは冷所保存?室温ではダメ?
「坐薬=冷蔵庫で保管」と考える方が多いですが、意外と室温で保管出来るモノもあります。
アンヒバ・アルピニーも必ずしも冷蔵庫で保管しなくても良いとされています。
アセトアミノフェンの坐薬は、メーカーごとに保管方法がわずかに異なります。
アルピニー:直射日光をさけ、30℃以下で保管すること。
カロナール(50mg)室温保存(30℃以下)
カロナール(50mg以外):冷所保存
アセトアミノフェン「JG」:室温保存(1~30℃)
アセトアミノフェン「日新」:室温保存(30℃以下)
アセトアミノフェン「TYK」:室温保存(30℃以下。直射日光を避けてなるべく冷所に保管すること)
このように、カロナール坐剤の一部のみ「冷所保存」になっています。
なお、製品ごとに添加物の違いなどもありますが、カロナールも融解点は他と大きく変わりはないです
参考にアンヒバ坐剤の融解点は以下の通りです。
アンヒバ坐剤小児用 100mg:33.5~35.5℃
アンヒバ坐剤小児用 200mg:33.0~35.5℃
室温(1℃~30℃)をしっかりとキープできていれば、冷蔵庫などで保管しなくても良いでしょう。
ただし、室温の厳密なコントロールは難しいということも合わせて理解しておきましょう。
例えば夏場にエアコンで28℃設定していても、室温は30℃を超えていたという経験は無いでしょうか?
冬場も暖房の風が直接当たるような場所は30℃を超えることはあるでしょう。
車の中に置きっぱなしにするのは、春などの季節でも注意が必要です。
なお、一度溶けた坐薬は性質が変化し、効果などにも影響が出る可能性があります。
再度固めたら使って良いというわけでもありません。
年間を通した保管場所としては、冷蔵庫が安心と言えるかもしれません。
この記事は、医療用のアセトアミノフェン坐薬についての説明ですので、市販薬のアセトアミノフェンの坐薬(パブロンなど)を使用する場合は、それぞれの商品の指示を守ってください。
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