どんな薬が苦手かを確認するために、「今まで子どもがうまく飲んでくれなかった薬はありますか?」と質問することがあります。
その時に多い答えの一つが「クラリスロマイシン(先発品名:クラリス・クラリシッド)」です。
子どもに良く処方されるのにとても苦い薬、クラリスロマイシン(クラリス・クラリシッド)の以下の項目について簡潔にまとめます。
- 下痢や発疹などの副作用について
- にが~いドライシロップの飲ませ方
- 他の薬との相互作用の注意
クラリスロマイシンは副鼻腔炎や感染性の咳など色々使われる抗菌薬です。
クラリスロマイシンは副鼻腔炎、感染性の咳、ヘリコバクター・ピロリ感染症など様々な病気に対して使われる抗菌薬です。
子どもに適している抗菌薬は大人に比べると種類が少ないため、クラリスロマイシンは子どもに良く使われています。
クラリスロマイシンを副鼻腔炎などに使う場合、少量を数ヶ月間続けるような治療もあります。
だからこそ、副作用にも注意が必要です。
ちなみに、副鼻腔炎は後鼻漏の原因になることがあります。
後鼻漏の原因となる粘り気が強い鼻水は、鼻の奥のほうに溜まっていることも多いです。
夜中の咳込みが気になるようなら、受診しても良いと考えます。
家庭用の鼻水吸引器の使用をすすめられることもあります。
クラリスロマイシンの副作用は下痢や発疹など
一般感染症に対して使用した場合の副作用は以下のように報告されています。
再審査終了時:製造販売後の使用成績調査において総症例22,964例(成人16,897例、小児6,067例)中、副作用は成人129例 (0.76%)、小児54例(0.89%)合計183例 (0.80%)に認められた。
その主なものは発疹41件(0.18%)、下痢32件(0.14%)であった。
また、主な臨床検査値の変動は、ALT (GPT) 上昇70件(1.65%)、AST (GOT) 上昇63件(1.48%)、好酸球増多40件(1.06%)であった。
引用:クラリスインタビューフォーム
発疹や下痢の副作用報告が多いです。
私の印象としては、下痢が一番多く相談される気がします。
便がゆるくなるぐらいなら出来れば服用を続けたほうが良いと思います。
ひどい下痢の場合や発疹が出た場合は、薬を続けるべきか相談するようにしましょう。
クラリスロマイシンの子どもへの飲ませ方
クラリスロマイシンはとても苦いです。
錠剤の場合は気にせず飲めると思いますが、粉薬(ドライシロップ)はなかなかの苦さです。
クラリスロマイシンを飲んだことによって、薬嫌いになってしまうお子さんもいます。
先発品のクラリスやクラリシッドよりも、ジェネリックのクラリスロマイシンドライシロップ「タカタ」や、クラリスロマイシンドライシロップ「トーワ」のほうが苦味がうまくカバー出来ている印象です。
苦味が気になるのであれば、ジェネリックを選択したほうが良いかも知れません。
クラリスロマイシン(クラリス・クラリシッド)のドライシロップは、pHが低いものと混ぜると、表面の甘いコーティングが取れてしまいます。
例えば、以下のようなものです。
- 果汁ジュース
- 炭酸飲料
- ヨーグルト
- 乳酸菌飲料
- スポーツドリンク
- おくすり飲めたねのフルーツ系の味
- カルボシステインドライシロップ(薬)
これらのものと混ぜると、苦味が目立ってしまいます。
酸味があるかな?と思うものとは混ぜないようにしましょう。
可能であればそのまま水で飲むのがベストですが、それでは飲まない場合は、おくすり飲めたねのチョコ味や「にがいのにがいのとんでいけ」などに混ぜると飲みやすいと思います。
家にあるもので対応したい場合、「きな粉+砂糖」の組み合わせでもある程度飲みやすくなりますよ。
クラリスロマイシンの小児用の錠剤はかなり小型なので、3歳で飲めている子もいます。
苦味でどうしてもドライシロップが飲めない場合は、錠剤を試してみたいと医師に相談してみても良いかも知れません。
のどに詰まったりするリスクも考えて、あえてドライシロップを処方していることもあると思います。
クラリスロマイシンは相互作用の多い薬です
クラリスロマイシンはCYP3A4やP糖タンパクに影響を与えるので、他の薬との相互作用が問題になりやすい薬です。
CYP3A4やP糖タンパクについては少々難しい話ですが、>>>グレープフルーツと薬の飲みあわせが悪い理由と、注意すべき柑橘一覧にまとめています。
クラリスロマイシンには併用禁忌(基本的に使わないでください)の薬がいくつかありますし、併用注意とされている薬もかなり多いです。
受診時に医師に、薬局で薬剤師に、今飲んでいる薬を伝えてチェックしてもらうようにしましょう。
お薬手帳を適切に使用していれば、ほぼ防げると思います。
子どもにとっては苦くて嫌な薬、保護者にとっては飲ませるのが大変な薬ですが、必要だから処方されています。
酸味があるものと混ぜないようにしつつ、チョコやきな粉などをうまく利用して飲ませてあげてください。