ロゼレム(ラルメテオン)は、通常成人の不眠症などに使われる薬です。
しかし、時に半錠や粉砕にして、子どもに使われている現状もあります。
ロゼレムの子どもへの使用における安全性や、半錠や粉砕の可否について考えます。
ロゼレムの飲み方【通常は15歳以上】
ロゼレム(ラメルテオン)はメラトニン受容体に作用することで、「不眠症における入眠困難の改善」に使われる薬です。
食後に飲むと血中濃度が上がりにくくなり、寝る直前でないと効果不十分になる可能性があります。
出来るだけ寝る前に服用してください。
添付文書上は15歳未満への使用は推奨されていませんが、現実的として子どもに使用されている報告も少なくありません。
子どもの睡眠障害の治療薬で安全性が高い薬があるとは言えないのが大きな理由だと考えます。
かといって、子どもの睡眠障害は放置してもよいのかというと、そういうわけにもいきません。
睡眠障害は神経発達症と併発することも少なくありませんが、睡眠障害による神経発達症の悪化も指摘されています。
このような場合には睡眠障害の治療の重要度は特に高くなります。
良い睡眠を得るためには、注意したほうが良いことはたくさんあります。
仮にそれを守るだけで寝れるのであれば薬を使う必要はありませんが、そう単純にいかないことも多いです。
ロゼレムの子どもへの安全性
成人に対してのアメリカ睡眠医学アカデミーの臨床診療ガイドラインによると、劇的な効果は期待できなさそうではありますが、安全性は高いと言えそうです。
参考:Clinical Practice Guideline for the Pharmacologic Treatment of Chronic Insomnia in Adults: An American Academy of Sleep Medicine Clinical Practice Guideline.
なお、ロゼレムのインタビューフォームには副作用に関して以下のように記載されています。
製造販売後の調査では 1 日 1 回ラメルテオンとして 8 mg が投与された 3,223 例中の 109例(3.4%)に副作用が認められた。主な副作用は傾眠(1.2%)、浮動性めまい(0.7%)、倦怠感(0.3%)であった。うち、精神疾患の既往又は合併のある患者では 727 例中の 40例(5.5%)に、精神疾患の既往及び合併のない患者では 2,361 例中の 64 例(2.7%)に副作用が認められた。精神疾患の既往又は合併のある患者での主な副作用は傾眠(2.2%)、浮動性めまい(1.1%)であり、精神疾患の既往及び合併のない患者での主な副作用は傾眠(0.9%)、浮動性めまい(0.4%)であった。
引用:ロゼレムインタビューフォーム
一方、子どもに関しての報告は多いとは言えず、わかっていない部分も多いと言えます。
ロゼレムはアメリカなど数か国しか販売されておらず、PubMedでも小児への使用報告はわずかにしかありません。
例えば「11人の重度の障害がある子ども及び成人の睡眠障害に対してのロゼレムの有効性・安全性が示された。」との報告があります。
参考:[Treatment with ramelteon for sleep disturbance in severely disabled children and young adults].
このようにエビデンスは十分とは言えませんが、現時点で得られる選択肢の中では、比較的安全性が高そうな印象はあります。
もちろん、併用禁忌・併用注意の薬などを避け、適切に使用した場合の話です。
ロゼレムは半錠や粉砕にしても良いか
ロゼレムの有効成分は光により分解が進むため、錠剤はフィルムコーティング錠になっています。
原則としては半錠や粉砕などは推奨されていません。
半錠や粉砕しなくて済むのであればそれがベターであることは間違いありません。
しかし、子どもに使う場合は、1錠よりも少ない量で使うことが多くなるため、どうしても半錠や粉砕を検討せざるを得ません。
「錠剤・カプセル剤粉砕ハンドブック」を参考にすると、粉砕された状態で、25℃・相対湿度75%・白色蛍光灯の条件では1か月安定とされています。
そのため、条件を満たせれば1か月程度は半錠や粉砕しても問題ないと考えられます。
※推奨しているわけではありません。
子どもにはロゼレムの代替薬が発売済み
ロゼレムの小児への使用は、基本的にルール外ですし、色々考慮すべき内容もありました。
しかし、2020年に日本初の小児用入眠改善薬の「メラトベル顆粒小児用 0.2%」が発売されました。
今後は少しづつメラトベル顆粒に変更されていくのではないかと思います。
注意点などはどちらも大きく変わりませんので、期待しています。
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