ヘマンジオルシロップの飲み方と注意点【飲ませるかどうかの判断を適切にしましょう】

ヘマンジオルシロップの飲み方と注意点【飲ませるかどうかの判断を適切にしましょう】

乳児血管腫治療薬のヘマンジオルシロップの注意点をまとめます。

ヘマンジオルシロップを服用中の患者さんは病院でしっかり指導を受けているものと思いますので、簡潔に注意して欲しいことだけまとめていきます。

ヘマンジオルシロップは国内唯一の乳児血管腫治療薬です

ヘマンジオルシロップは国内唯一の乳児血管腫治療薬です。

2014年3月に米国で承認されて以降、世界40ヵ国で承認されています。

 

乳児血管腫(別名:いちご状血管腫)は、5~7歳にかけて自然に改善していくことがほとんどですが、多くの場合はあとが残るとされています。

そのため、部位や症状などを見ながらヘマンジオルシロップでの治療の必要性を医師が判断します。

ちなみに(豆知識)
ヘマンジオルシロップの成分:プロプラノロールは、高血圧・狭心症・不整脈等の治療薬でして、日本でもインデラルという商品名で使用されている薬です。
本来の目的でプロプラノロールを使用した患者さんが、たまたま乳児血管腫を合併していたため、効果があることが発見されました。

ヘマンジオルシロップの飲み方【他の飲み物と混ぜて良い?】

基本的な飲み方とピペットの使い方

ヘマンジオルシロップは子どもでも飲みやすいバニラいちご味のシロップ剤です。

味見をしたことはないので、飲みやすいかどうかは把握しておりません。

 

1日2回空腹時を避けつつ、9時間以上あけて飲むようにしてください。

毎回、専用ピペットを使って量り取る必要があります。

過量にならないように注意をお願いします。

ヘマンジオルシロップ 目盛りの見かた
ヘマンジオルシロップ 気泡の抜き方
ヘマンジオルシロップ ピペット洗い方
専用ピペットは水洗い可能ですが、指示通り洗うようにして下さい。

他の飲み物と混ぜる場合

以下の5種類と混ぜた場合は、40℃・2時間保存しても性状も含量も変更ないと記載があります。

  • 調製粉乳(明治ほほえみらくらくキューブ)
  • 牛乳(成分無調整乳)
  • 野菜ジュース(野菜生活)
  • ほうじ茶(ほうじ茶)
  • イオン飲料(ポカリスエット)

どうしても飲みにくい場合は、上記の飲み物とは混ぜても大丈夫そうです。

 

全部飲み切る必要があるので、混ぜる場合は出来るだけ少量と混ぜたほうが良いでしょう。

その他の飲み物とは混ぜないようにしましょう。

注意事項【飲ませるかどうかの判断|遮光】

そもそもが高血圧や狭心症の薬ですので、過量投与には不安があります。

以下の点に注意して下さい。

  • 薬を飲み忘れたら、その回は飲むのをやめて次のタイミングに1回分飲ませる
  • 薬を吐いてしまった場合は、再度飲ませずに次のタイミングに1回飲ませる
  • 食事が出来なかったり吐いたりしたときは、中止する
  • 間違えて多く飲ませてしまった場合は、すぐに相談

正確な量を量り取るために、泡立たないようにする必要があります。

飲ませる前に瓶を振らないようにしてください。

 

透明ガラス瓶での光の過酷試験で、「黄褐色に変化、及び類縁物質がわずかに増加」となっています。

短時間なら問題ないでしょうが、基本的に光を避けて保管をするようにしてください。

ヘマンジオルシロップの有効性と使用期間

24 週後の有効率は 78.1%、(25/32 例)(95%信頼区間 60.0~90.7%)であった。95%信頼区間の下限値は、有効性の判断基準である 12%を上回った。
参考:ヘマンジオルシロップインタビューフォーム

24週後に「治癒」又は「ほぼ治癒」した患者は78.1%と有効率は高いです。

 

判断基準の12%は、海外の臨床試験におけるプラセボ群の有効率を基準に設定されています。

乳児血管腫は自然に治っていく疾患なので、プラセボでも有効率が高いのでしょう。

 

使用期間は明確に決まっているわけではありませんが、24週が一つの目安になりそうです。

ヘマンジオルシロップの副作用・禁忌

副作用は下痢が多いが注意すべきものは低血糖など

国内臨床試験において、総症例 32 例中 10 例(31.3%)に副作用が認められた。主な副作用は、下痢 4 例(12.5%)、AST 増加 2 例(6.3%)、ALT 増加 2 例(6.3%)、拡張期血圧低下 2 例(6.3%)、収縮期血圧低下 2 例(6.3%)等であった。海外臨床試験において、安全性評価症例 435 例中 166 例(38.2%)に副作用が認められた。主な副作用は、末梢冷感 32 例(7.4%)、下痢 23 例(5.3%)、中期不眠症 22 例(5.1%)、睡眠障害22 例(5.1%)、悪夢 20 例(4.6%)等であった。
参考:ヘマンジオルシロップ添付文書

ヘマンジオルシロップの副作用報告としては下痢が多く報告されています。

 

ヘマンジオルシロップの説明サポート資材には、主な副作用として、以下の項目が挙がっています。

  • 低血糖
  • 心拍数の低下及び低血圧
  • 呼吸困難
  • 下痢
  • 嘔吐
  • 睡眠障害
  • 気管支炎の悪化

 

低血糖、心拍数の低下及び低血圧、呼吸困難の副作用予防のためにも、以下の点には注意をお願いします。

  • 食事中や食後に薬を飲ませる(空腹時はダメ)
  • 食事を摂れない・嘔吐があるなら、薬を飲ませない
  • 薬を飲んだ後に嘔吐しても、再度飲ませない
  • 過剰に飲まないようにする

 

低血糖、心拍数の低下及び低血圧、呼吸困難の症状が現れたら、直ちに医師に相談してください。

気管支ぜんそく患者さんは禁忌

ヘマンジオルシロップは気管支ぜんそくの患者さんには禁忌とされています。

その他にも禁忌事項はいくつかありますが、一番頻度が多いのは、気管支ぜんそくだと思います。

薬局でもしっかりとチェックをしていきたいと考えています。

私は見かけたことが無いですが、しっかりとぜんそくの管理が出来ていれば使うこともあるのかもしれません。

乳児血管腫を診療できる病院は多くないようです

マルホのホームページで診療施設検索が出来るので活用してください。(こちらで検索できます。

ちなみに、山陰では島根が1件、鳥取が4件となっています。

  • 島根大学医学部附属病院 出雲市
  • 鳥取県立中央病院 鳥取市
  • 林原医院 米子市
  • ファミリークリニックせぐち小児科 米子市
  • 米子こどもクリニック 米子市

注意:上記の医療機関のみ登録されている理由はわかりかねます。

その他の医療機関において、乳児血管腫の治療を行えないというわけではありません。