夜尿症治療薬のミニリンメルトは副作用の水中毒対策として、水分摂取の時間や量の管理が必須です。
「学校行事などに一回だけ使いたい」と言われることもありますが、個人的には事前に何度か試しておくべきだと考えています。
ミニリンメルトの使い方や注意点についてまとめます。
ミニリンメルト:夜尿症(おねしょ)治療薬【寝る前|無味】
ミニリンメルトは口の中で溶けるように作られている錠剤で、主成分のデスモプレシンが抗利尿ホルモンの代わりに働きます。
抗利尿ホルモンには尿量を抑える役割があり、夜間から朝方に分泌量が多くなるので、夜間はおしっこに行く頻度が減ります。
その効果を補ってあげることで、おねしょを減らします。
この薬は口と小腸で吸収されます。
唾液(水分)でさっと溶けるように出来てますので、舌の下に入れて溶かしてから唾液で飲み込んでください。
味は特にないとされています。
基本的に寝る前に飲む薬です。
食後に飲むと、空腹時に飲むよりも60~70%薬の吸収が下がってしまうので、期待した効果が出なくなります。
夕食からしっかり時間を空けたほうが良いでしょう。
ミニリンメルトは副作用の水中毒に注意
水中毒とは
水中毒は、水分を大量に摂取することで血液中のナトリウム濃度(塩分の濃度)が低下し、「低ナトリウム血症」という状態に陥ってしまい、場合によっては命の危険にさらされます。
主な症状としては、めまいや頭痛、多尿・頻尿、下痢などがあげられます。悪化すると吐き気や嘔吐、錯乱、意識障害、性格変化、呼吸困難などの症状が現れ、死に至る場合もあります。
海外では、低ナトリウム血症による死亡事故が報告されており、水の飲み過ぎが原因と診断されています。このほか、いかに多くの水を飲めるかを競う競技で7.5Lの水を飲んだ女性が死亡したという事例や、フットボールの練習中14Lの水分を摂取した男性が死亡した事例が確認されています。
参考:全労済HP
ミニリンメルトは尿量を抑えるので、体内の水分量が溜まった結果として水中毒が起こりえます。
水中毒は水分を多く飲んでしまった場合に起こりやすいです。
指示通りに使っていればまず大丈夫ですが、倦怠感、頭痛、悪心、嘔吐などがひどいときは、疑ったほうが良いと思います。
ミニリンメルトによる水中毒を予防するために
水中毒を予防するために、ミニリンメルトを服用する日は、夕食後以降の水分摂取量は200mL以下に制限してください。
200mLを超えて水分摂取をした場合は、ミニリンメルトを飲まないようにしましょう。
ミニリンメルトの以外にも夕食後の薬がある場合は、基本的には夕食を食べたらすぐに飲んでしまったほうが良いと思います。
※薬の種類によっては、そう単純ではないこともありえます。
必ず受診時に医師・薬剤師に相談してください。
熱がある、吐いている、下痢をしているなど、多くの水分摂取を必要としている病気の場合は、ミニリンメルトを中止したほうが良いでしょう。
ミニリンメルト以外の夜尿症(おねしょ)治療薬:漢方を使うこともあります
以前は同成分の点鼻薬であるデスモプレシンスプレーしか治療薬がなかったのでよく使われていましたが、最近ではミニリンメルトを使うことが増えてきています。
他にも治療薬として使われるものもありますが、どちらかというと昼にトイレに間に合わなくなる場合に使う薬や、副作用の観点から使用頻度が減っている薬などがあり、夜尿症にメインで使われるのはミニリンメルトだと思います。
漢方薬で治療をすることもありますが、有効性が十分に示されてるとは言えません。
参考:Complementary and miscellaneous interventions for nocturnal enuresis in children
ミニリンメルトまとめ【中止のタイミングを子どもが理解することが大切】
他に病気がないお子さんの場合、デスモプレシン服用時にあたっては主に水中毒に注意をすれば大丈夫だと思います。
実際に使うときには、以下の内容については何度も確認しておきましょう。
- 夕食後に水分制限をすることと、制限できなかった時に中止をすること
- 多くの水分摂取を必要としている病気の場合は、ミニリンメルトを中止すること
- 上の2つを使用者本人(子ども)がしっかり理解すること
例えばですが、お子さんが修学旅行に行った時に【みんなでワイワイ騒いで喉が乾いたから水分もいっぱい飲んだけど、おねしょもしたくない。だから水分飲んじゃったけど良いかな】という自己判断をしてしまうことは考えられないでしょうか?
本当に薬を使いたいのは1回だけだったとしても、事前に何度も水分制限の事を説明して、子どもの理解を得た上で使うようにしてください。
また、ミニリンメルトを完全に中止する際には、医師の指示に従ってください。
当薬局でもミニリンメルトを使用されている方が複数いますが、それぞれ異なる事情もあり、ミニリンメルトをなかなか中止できないケースも少なくありません。
以下の報告によると、ミニリンメルトを中止する際には時間をかけて量を減らしたり服用期間を空けたりしたほうが再発が少なくなりそうな印象があります。
参考:Gradual tapering of desmopressin leads to better outcome in nocturnal enuresis
医師からある程度の調整を認められている場合は、急に中止をするよりも、2日に1回の服用にしてみてもいいのかもしれません。
トラブルなくミニリンメルトを続けれているお子さんは多いです。
注意点をしっかり守って、上手に使っていきましょう。
おねしょの治療目安などに関しては、>>子どものおねしょ(夜尿症)は何歳から治療?おすすめの病院は?でまとめてあります。