クリニカ・フッ素メディカルコートの効果と安全性【子どもにも使える?】

【クリニカ フッ素メディカルコート】は子どもにも使える?効果と安全性も検討

子どもの虫歯が心配だったり、実際に対策をされている保護者の方は多いと思います。

歯みがきをすることや、定期的に歯科受診をすることはもちろん大切ですが、「フッ素(フッ化物)」も根拠ある虫歯予防とされています。

 

家で手軽にフッ化物の洗口が出来る「クリニカ フッ素メディカルコート」を実際に使ってみたので、使用感などを紹介します。

 

また、フッ化物洗口の効果や安全性、子どもにも使えるのか、海外での推奨などをまとめていきます。

クリニカ フッ素メディカルコートの使い方と味

クリニカ フッ素メディカルコートはノンアルコールなので、子どもでも抵抗感なく使いやすいでしょう。

フッ素メディカルコートの色

「ライチミント風味」と記載がありますが、ライチはイマイチわからず。

わずかに青っぽい色とミントの風味があります。

 

少しピリッとして、わずかに舌がしびれるような感覚があります。

子どもにとっては少し嫌な感覚かもしれませんが、うちの子はすぐに慣れてくれました。

 

フッ素メディカルコート 説明画像

1日1回食後か寝る前に1回量を付属の計量カップで測り取り、30秒~1分ほど歯のすみずみまで行き渡るようにぶくぶくすすぎ、吐き出します。

1回量は4~5歳は5mL、6歳以上は7~10mLとなっています。

 

使用にあたり、以下の内容には注意しておきましょう。

  • 飲み込まないこと(吐き出した後に口の中に残った分は問題ありません
  • 使用後30分は口内をすすいだり、飲食をしないこと(フッ化物が流されて効果が減る可能性があります)
  • ガラガラうがいは歯に当たらない上に、飲み込むリスクも増えるのでやめましょう。

 

誤って飲み込んでしまい、嘔吐・腹痛・下痢などの症状が現れた場合は、牛乳(ない場合は水)をコップ1~2杯飲んだ上で、医師・歯科医師・薬剤師・登録販売者に相談するように商品に記載があります。

後述しますが、1回量を全て飲み込んだとしてもそこまで心配する必要はないと考えています。

 

クリニカ フッ素メディカルコートには、フッ化物(フッ化ナトリウム)が1mL中に0.5mg含まれているので、医療用として考えると薄めの濃度です。

 

しかし、歯科に行かなくても自宅で1日1回すすぐだけでフッ素をコーティングすることができるのが最大のメリットです。

 

フッ化物(フッ素)と言えば、歯磨き粉のイメージが強いですが、使用後にうがいをするので口内に残りにくいことが考えられます。

とはいえ、フッ化物が入っている歯みがき粉と入っていない歯磨き粉で比較して、虫歯予防にフッ化物入りの歯磨き粉のほうがメリットがあるという報告があります。
参考:Fluoride toothpastes of different concentrations for preventing dental caries.

 

そのため、私はフッ化物を含んだ歯みがき粉と洗口液の両方を使っています。

 

子どもでも問題なく使えてとしても、効果が期待できなかったり、安全性に問題があれば当然使用には適していません。

ここからは、本当に使うメリットがあるのか考えていきたいと思います。

フッ素(フッ化物)の虫歯予防効果とフロリデーション

そもそも、虫歯の原因菌である「ミュータンス菌」が食べ物の中の糖質を代謝することで酸を作り、その酸が歯のカルシウムなどを溶かすことで、虫歯になります。

フッ素(フッ化物)が歯に残っていると、歯から溶け出したカルシウムが再び歯に取り込まれ(再石灰化と言います)、結果として虫歯の予防に繋がります。

 

コクランレビューでは、局所フッ化物による虫歯予防効果を確立したものとして報告しています。
参考:Topical fluoride (toothpastes, mouthrinses, gels or varnishes) for preventing dental caries in children and adolescents.

 

別のコクランレビューによると、15813人の子どもと青年を対象とする37件の試験のデータにおいて、フッ化物洗口液の定期的な使用が永久歯の虫歯を減らすことに関連していることが確認されています。
参考:Fluoride mouthrinses for preventing dental caries in children and adolescents.

 

このように、フッ素(フッ化物)には虫歯予防効果があるというデータが出ており、海外ではフッ化物を摂取しやすい工夫をしている国も少なくありません。

 

その方法としては、フロリデーション(水道水にフッ化物を加える)や、子どもにフッ化物のサプリを処方されるケースもあります。

フロリデーションはWHOも「安全かつ経済的である」と報告しており、欧米などの多くの専門機関が推奨しています。

 

フロリデーションされている場合、フッ素の過剰摂取にならないように注意する必要はありますが、病気や金銭面などの理由で歯科受診出来ない人にも虫歯予防効果が届くのが特徴です。

フッ素は様々な食品にも含まれており、フロリデーションされた水道水は、緑茶と同じかそれ以下のフッ素量と言われています。

日本ではフッ素摂取量が少ない

1985年にWHOは日本について、「砂糖消費量が少なく、優れた歯科医療が行われているが、他の先進国と比較すると最も重要なフッ化物の利用が十分でない。」と評価しています(一部抜粋)。

日本は欧米(アメリカやフィンランド、デンマーク、オランダなど)と比較して、砂糖の消費量は1/2~2/3倍ですが、虫歯の本数は2~3倍あるそうです。

 

まさにその原因が「フッ素(フッ化物)」だと考えられてます。

フッ化物を大量に取れば良いというわけではなく、虫歯予防などの効果とフッ素症などのリスクのバランスを取る必要があります。

 

フロリデーションされていない日本で心配する必要はないかも知れませんが、妊婦さんに関しては、フッ化物は過剰摂取しないほうが良いかもしれません。
参考:Association Between Maternal Fluoride Exposure During Pregnancy and IQ Scores in Offspring in Canada.

ちなみに、妊婦さんがフッ化物サプリメントを摂取しても、子どもの虫歯予防にはつながらないようです。
参考:Fluoride supplementation (with tablets, drops, lozenges or chewing gum) in pregnant women for preventing dental caries in the primary teeth of their children.

 

薬などに限りませんが、過剰に摂取することが良いことではなく、必要な時に適切な量をとることが大切です。

フッ化物も同様で、急性的・急性的に過剰摂取にならないように注意が必要ではあります。

ただし、フロリデーションなどが行われていない日本においては、歯医者でフッ素を塗ってもらったり、フッ化物の洗口液を適切に使用して問題になる可能性は低いでしょう。

 

虫歯予防という観点では、フッ化物(フッ素)が日本においては不足しがちだということは間違いなさそうです。

子どもでも使える?【WHOは6歳から推奨だが】

フッ素メディカルコートは、ぶくぶくうがいが出来るようなら4歳から使えます。

使うことを検討するのであれば、まずはぶくぶくうがいが安定して出来るのか、練習してから試すようにしましょう。

対象年齢は4歳からとなっていますが、ぶくぶくうがいが上手に出来ない(ふざけて飲み込んでしまうことが多いなど)場合は、使用を控えたほうが良いでしょう。

 

ちなみに、WHO(世界保健機関)は6歳未満のフッ化物洗口は推奨していません。

適切にフッ化物洗口が出来れば(飲み込まなければ)歯のフッ素症の原因にはならないが、「フッ化物洗口液を全量飲み込んでしまった場合に他のルートから摂取するフッ化物の量によっては、歯のフッ素症を増加させる可能性がある」としています。

何歳であろうと、それが出来ない子に使うのは推奨出来ません。

 

ただし、先に説明したように、世界と日本ではフッ化物の摂取状況が大きく異なります。

フッ化物の量が少ない日本において、4歳からフッ化物洗口を使うことに対しての懸念は、「飲み込まないように出来るかどうか」でしょう。

つまり、保護者の目の届く範囲で、適切にぶくぶくうがいをして吐き出せるのであれば問題ありません。

 

使用自体は4歳からで問題ないと考えていますが、4歳の頃に適切にぶくぶくうがいが出来るかどうかは個人差も大きいと思います。

適切にうがいが出来るようになるまでは使わないようにすることが最も大切でしょう。

虫歯予防効果を高めたい場合は、永久歯が生える前から始めるほうが理想的でしょう。

フッ化物の安全性と危険性

仮にフッ素メディカルコートを飲み込んでしまった場合の危険性についても考えてみましょう。

フッ化物の安全性についてですが、フッ化物で急性中毒(消化器症状など)を生じる量は、体重1kg当たり2mgといわれています。

フッ化物を大量に取ると、消化器症状などの急性中毒の危険性があります。

 

とはいえ、急性中毒になる量として、体重1kgあたりフッ化物を2mgあたりが目安となります。

4歳の子が一回量の7mLを全量飲み込んでしまったとしても、フッ化物の量は3.5mgなので、急性中毒量には全く届きません。

水道水にフッ化物を添加していたり、フッ化物のサプリメントを飲んでいる地域では、より注意すべきでしょうが、日本においては危険性は低いと考えています。

 

適切に測り取れれば、間違えて飲んだとしても中毒の可能性はかなり低いでしょう。

小さいお子さんに使う場合は、大人がしっかり量を測り取ってあげることが大切だと考えます。

 

また、過剰なフッ化物は24時間ほどで体内から排出されます。

慢性的に大量にフッ化物を飲むことで、歯のフッ素症(歯の表面がまだら状になる)や骨の硬化症などにつながる可能性も考えておく必要があります。

 

しかし、フッ化物は食事でも摂取しており、フッ素メディカルコートで口の中に残るフッ化物の量はさらに少ない量なので、しっかり吐き出せていれば問題になることはないでしょう。

ちなみに、フッ素メディカルコートを適切に使用した場合に、口の中に残るとされるフッ化物の量は、紅茶1~2杯に含まれるフッ化物の量と同じ程度です。

 

繰り返しになりますが、大切なのは、「しっかりぶくぶくうがいが出来るようになってから使うこと」です。

フッ素メディカルコートを使用したからと言って、歯磨きをしなくて良いというわけではありません。

歯磨きには、口内の食べ物のカスなどを取るなどの効果もあり、歯茎や口内の健康維持に大切です。

 

しかし、歯ブラシでは届きにくい奥歯の溝や歯と歯の間に虫歯が出来ることも多く、フッ素メディカルコートなどのフッ化物洗口液はそのような場所にも届きます。

しっかり歯みがきをした上での虫歯予防をしていきましょう。