漢方薬のメーカーごとの違いをまとめました【葛根湯も違いあり|一覧表も作成】

漢方薬のメーカーごとの違いをまとめました【葛根湯も違いあり|一覧表も作成】

漢方薬もメーカーごとに配合されている生薬が異なっていたり、配合量が異なっていることがあるのはご存知でしょうか。

私もわからなくなることがあるので、自分なりにまとめてみました。

メーカー毎の漢方薬の特徴

最初に主要3メーカーの医療用漢方製剤の特徴について、ごくごく簡単に触れておきます。

ツムラ:粒子が大きい
クラシエ:粒子が細かい、一部錠剤もある
コタロー:粒子が細かい

※その他にも漢方メーカーはありますが、比較的良く見かける3メーカーに絞って作成しています。

 

人によって飲みやすい粒子の大きさは違いますが、子どもに漢方を出すのであればクラシエやコタローのほうが飲みやすいのではないでしょうか。
(個人的にはツムラのほうが飲みやすいです。)

クラシエの漢方の錠剤サイズはそこまで大きくはありませんが、1日3回、合わせて18錠飲むのが基本になります。
極端に漢方が苦手でない限りは、粉のほうが飲みやすいと思います。

メーカーによって漢方の組成は結構違います

本題です。

メーカーごとに漢方の生薬の配合量が違うことは意外と珍しくありません。
そもそも配合している生薬が違うこともあります。

まずは目立って配合量に違いのある2種類を紹介します。

組成の違う漢方例①【葛根湯】

日本においてメジャーな漢方薬の一つである、葛根湯もメーカーによって配合量が変わります。

葛根湯のメーカー間の違い

同じクラシエの葛根湯であっても、細粒と錠剤で配合量が大きく異なります。

葛根の量に限れば、1日量換算で倍も違います。

 

漢方のメーカーを変えることで、実際に治療効果に大きな差が出るのかは判断しかねますが、理由なく変更するのはためらうほどの差です。
※当然、応需した処方せんのメーカーを勝手に変更することは薬局には出来ません。

ちなみに、葛根湯以外に関しては、クラシエの粉と錠剤で組成が違うものはなさそうでした。

組成の違う漢方例②【十味敗毒湯】

また、十味敗毒湯もメーカーによる違いが多い漢方薬の一つです。

十味敗毒湯のメーカー間の違い

メーカーによって、ボウフウorハマボウフウ、ボクソクorオウヒと違いがあります。
また、配合量にも違いがあります。

なぜメーカーごとに組成が違うのか

同じ名前の漢方薬なのに、中身が違うのは紛らわしいですよね。

漢方は、「一般用漢方処方の手引き」に基づいて申請されるようですが、その内容に幅があるようです。

柴胡加竜骨牡蛎湯の場合、ダイオウの含有量が0~1.0gとなっています。

ツムラの柴胡加竜骨牡蛎湯はダイオウがなく、クラシエやコタローはダイオウを配合していますが、どれも「一般用漢方処方の手引き」に基づいています。

前述の十味敗毒湯のボウフウとハマボウフウの違いや、ソウジュウとビャクジュツの違いも同様です。

 

このように、(当然ですが)決まりの範囲内で組成が決まっています。

統一してもらえると大変わかりやすいですが、その違いを理解しておくのも薬の専門家である薬剤師の仕事の一つだと捉えています。

漢方薬のメーカーごとの違い一覧

メーカーごとに違いのある漢方薬を抜き出して表にしてみました。
葛根湯と十味敗毒湯については書ききれなかったので、少し上の表をご確認ください。

漢方の違い一覧表

自分で添付文章を調べて作成しましたが、メーカーも絞っていますし、細かな点などを中心に漏れもあると思います。

参考にしていただくのは問題ありませんが、正確な情報を知りたい場合は、ご自身で調べていただければと思います。

また、漢方薬には数多くの一般用医薬品もあります。

一般用医薬品もまた、メーカーや商品ごとに組成に違いがあり、さらにややこしいです。

最後に:漢方薬のメーカー変更を軽く考えないようにしましょう

医療用の漢方製剤は200種類もないと思いますが、今回紹介した漢方薬だけでも26種類あります。

今回は3社の漢方薬しか調べていませんが、他にも医療用漢方を作られているメーカーもあります。

医療用漢方の20%程度は、メーカー間で組成の違いがあるのではないでしょうか。

適切に飲むのが難しい患者さんへの服用回数の変更の提案などを行う場合は、組成の変更がないかも必ず確認しましょう。

 

私が実際に漢方薬のメーカー変更を見かけたのは、以下のような例があります。

  • 1日3回飲むのが大変なので、1日2回タイプの他メーカーの漢方薬に変更してもらった。
  • 粉の漢方薬は苦手なので、他メーカーの漢方薬に変更してもらった。

どちらも患者さんが直接医師に伝えて変更になった例ですが、組成に違いのある漢方薬の場合、影響がないとも言い切れません。

 

もちろん、生薬の配合量の差よりも、飲みやすさを優先するということも、場合によっては大切なことだと思います。

ただし、ジェネリック変更のような感覚でのメーカー変更には注意が必要だと感じます。
※薬局での漢方薬のメーカー変更は出来ないルールになっています。

各漢方の組成の違いによって、実際に使用する際にどのような注意が必要なのかは、漢方を専門とする先生に確認していただければと思います。