銀杏(ギンナン)は、茶碗蒸しなどに入っている事も多く、少量であれば口にする機会は多いのではないでしょうか。
そんな銀杏ですが、多めに食べると中毒症状を引き起こすことが知られています。
さらに注意すべきなのは、銀杏中毒は子どもに起こりやすいと言われていることです。
銀杏中毒について簡単にまとめます。
銀杏中毒の原因と症状【子どもに多いので注意】
銀杏中毒の原因は、銀杏に含まれる「MPN」というビタミンB6に似た成分です。
「MPN」がビタミンB6の作用を邪魔することで、ビタミンB6欠乏と同じような状況になり、色々な症状を引き起こします。
「火を通したから大丈夫」とはなりませんのでご注意ください。
銀杏中毒の症状は、吐き気・嘔吐・下痢などの胃腸症状や、けいれんなどです。
症状が出るまでに半日程度時間が空くこともあり、原因が特定しにくいケースもあるようです。
多くは24時間程度で症状が落ち着き、後遺症も報告されていないようですが、過去には死亡例もあるので、軽く考えないほうが良いでしょう。
日本では半世紀近く死亡例はありませんが、当時とは食糧事情が大きく異なるのが一つの要因なのかもしれないと考えています。
ビタミンB6が不足した状態で大量に銀杏を食べれば、重篤な症状に繋がりやすいでしょう。
また、銀杏中毒は子どもに多いと言われています。
以下の報告には、「中毒患者の約87%が10歳未満であり、中でも3歳以下が全体の60%」と記載があります。
参考:「生きた化石」イチョウに含まれる特有成分とその生理活性
銀杏中毒の治療には、ビタミンB6を投与します。
けいれんなど個別の症状を抑える目的でその他の薬も使われるでしょう。
なお、けいれんを起こす可能性があるので、無理やり吐かせるのもおすすめできません。
症状があれば必ず受診するようにしましょう。
銀杏は何個まで食べていい?【子どもは7個でも危険かも】
銀杏を何個までなら食べても大丈夫という明確な基準があるわけではありません。
日本中毒センターの資料によると、銀杏の経口中毒量は小児で7個~、成人で40個~となっていますので、これを一つの参考にすれば良いと思います。
ただし、ビタミンB6が欠乏しやすい状態(偏食や病気で食事が摂れない、一部の薬を服用中など)なら、さらに少ない量でも注意したほうが良いかもしれません。
子どもなら6個まで食べても絶対に大丈夫というデータではないのでご注意ください。
明らかに食べ過ぎた場合には念のため受診したほうが良いと考えます。
そんなにたくさん銀杏を食べる機会は少ないかもしれませんが、念のためご注意ください。
昔から「年齢の数までしか銀杏は食べてはいけない」と言われています。
大まかにはこの考え方で良いのではないかと考えていますが、中毒を起こさないことを優先で考えるのであれば「年齢の半分まで」に控えたら良いのではないかと考えています。
そう考えれば、日本中毒センターの「小児7個」、「成人40個」をおおまかにクリアできます(80歳以上で銀杏大好きな方は除く)。
銀杏で中毒が起こる可能性があるからと言って、子どもに対して全面的に禁止する必要はないと考えています。
茶碗蒸しの銀杏一つに目くじらを立てる必要もないでしょう。
ただし、子どもの場合、10個未満という少ない量でも中毒になる可能性があるので、銀杏がたくさん食卓に並ぶ環境であれば注意をしておいたほうが良いでしょう。
大人も含めて食べすぎには注意しましょう。