離乳食を始める時期について、医師や保健師さんによっても意見が違うことがあり、迷うこともあるかと思います。
今と昔では離乳食に対する考え方も変わっており、自分が子どもだったころとも違うことすらあります。
離乳食開始時期の目安として大きく影響を及ぼしているものの一つに食物アレルギーの考え方が変わってきている事が挙げられます。
迷った時に少しは参考になるかもしれませんので、離乳食と食物アレルギーについてまとめてみました。
離乳食の食物アレルギー予防に対する考え方の推移
アメリカの小児科学会は2000年に、ハイリスクの場合は以下のものを除去することをすすめていました。
- 妊娠中の母親のピーナッツ除去
- 牛乳を1歳まで
- 卵を2歳まで
- ナッツ類と魚を3歳まで
しかし、8年後の2008年にはこの方針を撤回しています。
Effects of early nutritional interventions on the development of atopic disease in infants and children: the role of maternal dietary restriction, breastfeeding, timing of introduction of complementary foods, and hydrolyzed formulas.
その時期の離乳食の本や、その頃の知識を持った方から、そのような知識を得る事があるかもしれないません。
また、インターネットで検索をしていると、今でも離乳食は遅いほうが良いとする意見も良く見かけますね。
それ以降のデータとして、例えば、ピーナッツアレルギーは幼児期からのピーナッツ含有食品を食べていくことで防止されうることなどがわかってきています。
Addendum guidelines for the prevention of peanut allergy in the United States: Report of the National Institute of Allergy and Infectious Diseases–sponsored expert panel
では、今(2018年)ではどのように考えられているのでしょうか?
離乳食の開始時期や除去について
ピーナッツ以外ははっきりとした推奨があるわけではありませんが、離乳食の導入は遅らせたほうが良いという風潮は無くなってきていると感じます。
食物アレルギー診療ガイドライン2016では、離乳食の開始時期として、以下のように記載があります。
生後5~6か月頃が適当(わが国の「授乳・離乳の支援ガイドライン2007」に準拠)であり、食物アレルギーの発症を心配して離乳食の開始を遅らせることは推奨されない。
参考:食物アレルギー診療ガイドライン2016
食物アレルギー予防のためだけであれば、早いほうが良いのかもしれませんが、その他の視点でみると、早すぎても良くないかもしれません。
例えば、4ヶ月より早く離乳食を始めると肥満のリスクが高まるかもしれないという報告もあります。
参考:Introduction of complementary feeding before 4 months of age increases the risk of childhood overweight or obesity: a meta-analysis of prospective cohort studies
また、食物アレルギーだったとしても、正しい診断に基づいた必要最小限の原因食物の除去が原則となっています。
食物アレルギーの診療の手引き2017によると、必要最小限の除去とは以下のように書かれています。
1)食べると症状が誘発される食物だけを除去する。
“念のため”、“心配だから”といって、必要以上に除去する食物を増やさない。
検査から原因と疑われ除去している場合には、必要に応じて食物経口負荷試験を実施し、診断を確定する。
2)原因食物でも、症状が誘発されない “食べられる範囲” までは食べることができる。
“食べられる範囲”の量を除去する必要はなく、むしろ“食べられる範囲”までは積極的に食べるように指示することが望ましい。
引用:食物アレルギーの診療の手引き2017 16ページ
知識は常にアップデートされており、今の常識も今後変わっていくこともあるでしょう。
ただし、あくまで一般論であり、実際は食物アレルギーのあるお子さんごとに個別に対応していくべきものだと思います。
アレルギーテストについて
アレルギー検査で陽性だった食品を食べてもアレルギー症状が出ないこともあります。
困ってもいないのにアレルギーテストを行うことはあまりお勧めできません。
また、アレルギーテストの検査方法にも色々あり、今では推奨されていないものもあります。
例えば、抗原特異的IgGとIgG4抗体検査は推奨されていません。
抗原特異的IgGとIgG4抗体検査に関する注意点
1) 特異的IgG (IgG4)抗体は臨床症状のない多くの患者で検出され、対照研究に基づ
いた食物アレルギーの診断的価値は報告されていない。 Stapel SO, et al. Allergy 2008; 63: 793-6.
2) 血清IgG4抗体価測定は特異抗体の存在を確認するだけであり、食物アレルギー
の診断はできない。 Bock SA, et al. J Allergy Clin Immunol 2010; 125: 1410.
引用:食物アレルギーの診療の手引き2017 9ページ
抗原特異的IgE抗体検査や、皮膚プリックテストなどは役立ちそうではありますが、その結果が全てではなく、陽性でも食物アレルギーが必ず出るわけでは無いようです。
どの分野でも言えることですが、食物アレルギーに関しても専門の医師に診てもらったほうが良いでしょう。
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