子どもにおしりかぶれやおむつかぶれが起きたときに使われることの多い塗り薬の一つとして「エキザルベ軟膏」があります。
このエキザルベには比較的弱めのステロイドに加えて、「混合死菌浮遊液」という成分が入っています。
エキザルベのチューブにもしっかり記載がありますので、思わず塗るのをためらってしまうようなこともあるかもしれません。
しかし、医薬品なので当然とも言えますが、混合死菌浮遊液には配合される意味があります。
エキザルベと混合死菌浮遊液について説明します。
エキザルベとは【おしりやおむつかぶれなど】
エキザルベはドイツとアメリカの企業で開発され、1960年頃には発売された塗り薬です。
様々な皮膚疾患に使われることがありますが、子どもに使われる場合、「おしりかぶれ・おむつかぶれ」が特に多いです。
通常、1日数回程度患部に塗ったり、ガーゼに伸ばしてから貼ったりします。
副作用として報告されているのは、塗った部位の刺激や発赤などですが、頻度は1.43%ほどと決して高くはありません。
エキザルベには弱いステロイドが含まれています。
外用ステロイド全般ですが、大量・長期の使用には注意が必要ですし、ステロイドを塗ることで悪化に繋がる病気・症状は使用しません。
おしりかぶれだと思ったらカンジダ症だった、などのケースもありますので、注意が必要です。
続いて、もう一つの成分「混合死菌浮遊液」について説明します。
混合死菌浮遊液って何?どんな意味があるの?
エキザルベ1g中には以下の有効成分が入っています。
- 混合死菌浮遊液 0.166 mL
-大腸菌死菌 約 1.5 億個
-ブドウ球菌死菌 約 1.5 億個
-緑膿菌死菌 約 0.15 億個
-レンサ球菌死菌 約 0.15 億個を含有 - 日局ヒドロコルチゾン 2.5 mg
よく使われる5gチューブ1本には16.5億個、500gの容器には1650億個相当の死菌が入っており、そう思って見るとなかなか衝撃的ですね。
「生きて腸まで届く乳酸菌」のような良い印象は持ちにくいのは間違いありません。
しかし!「混合死菌浮遊液」は死んでいる菌の集合体なので、塗ることによって感染したりすることは考えられません。
むしろ塗った場所に白血球を増やすことができ、他の菌などの感染から防ぐ効果があります。
ステロイドを塗った部位は菌の繁殖が起こりやすくなることが知られているので、ステロイドを塗ることによるリスク対策にもなっていると考えることができます。
実際に半世紀以上使用されても、軽度な副作用以外は特に報告もないため、極端なデメリットはないと考えて良いでしょう。
なお、大腸菌死菌浮遊液が含有された痔の薬「強力ポステリザン軟膏」、「ポステリザンF坐薬」もありますが、こちらも息の長い医薬品です。
どちらにせよ、「死菌を塗ったら良いんじゃない?」と最初に考えた人やそれを最初に試した人はすごいなぁと純粋に思います。
ということで、エキザルベに入っている「混合死菌浮遊液」なる一見怪しい成分にもきちんと意味があるので、安心して塗っても大丈夫です。
いつも避けられてて可哀想なので、むしろ「混合死菌浮遊液さんありがとう」ぐらいの気持ちで使っていただきたいと思います。
子どものおしりかぶれは珍しくありませんが、放置しておくとなかなか治らなかったりもします。
あまりひどいようなら早めに受診して薬も使うようにしましょう。
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