厚労省から”コデインリン酸塩水和物又はジヒドロコデインリン酸塩を含む医薬品の「使用上の注意」改訂の周知について(依頼)”が発表されてから、しばらく時間が経ちましたので、注意喚起のために再度取り上げることにしました。
コデインが12歳未満に使用禁止になった経緯と理由、家に残ってたコデイン類を飲んでしまった場合の対応についてまとめます。
コデイン類が子どもに使用禁止になった経緯と理由【いずれ18歳未満に禁止に?】
コデイン類が子どもへの使用を制限されたのは、呼吸抑制などの副作用を起こさせないためです。
アメリカFDAがコデイン類を含む医療用医薬品について12歳未満の子どもへの使用を禁忌とすることを発表しました。
参考:FDA Drug Safety Communication: FDA restricts use of prescription codeine pain and cough medicines and tramadol pain medicines in children; recommends against use in breastfeeding women
アメリカでは1969年から2015年にかけて、コデイン類を使用した18歳未満の子どもの中で、24人の死亡を含む、64人の重大な呼吸抑制などが起きています。
報告が上がっているものだけなので、実際にはもっと多い可能性もあります。
※ちなみに、イギリスやカナダなどでは、以前からコデインを小児に使うことへ注意情報が出ていました。
それを受けて、日本小児科学会もほぼ同様の(年齢制限などに違いあり)見解を発表。
その発表を受けて、厚労省は2019年度から12歳未満の子どもへのコデインの使用を禁止する方向に舵を切りました。
参考:コデインリン酸塩水和物又はジヒドロコデインリン酸塩を含む医薬品の「使用上の注意」改訂の周知について(依頼)
2019年末時点で、日本では12歳未満へのコデイン類の使用が禁止になっています。
しかしアメリカではさらに禁止の幅が広がっており、18歳未満のコデイン類使用禁止の方向へと進んでいます。
12歳未満へのコデイン類禁止への対応が落ち着いたあとに、再度対応することになるのかもしれません。
このように、以前は子ども用の市販薬にも幅広く使われていたコデイン類が、禁止されることになりました。
コデイン類を飲んでしまった場合の対応【家に残ってる咳止めや風邪薬は要チェック】
ご自宅に残っている薬に、コデイン類が含まれている可能性があります。
心配なら一度期限チェックも含めて、家の薬箱を整理しても良いかもしれませんね。
コデインが入っている子ども用の薬があれば、処分してもらったほうが無難だと考えています。
とはいえ、日本では12歳未満のコデイン類による死亡例は報告されておらず、また、呼吸抑制などを起こすリスクも欧米より低いと言われています。
本剤による死亡例の国内報告はなく、日本での呼吸抑制のリスクは欧米と比較して遺伝学的に低いと推定されること等から、国内で直ちに使用を制限する必要性は考えにくい一方、本剤による小児の呼吸抑制発生リスクを可能な限り低減する観点から、一般用医薬品・医療用医薬品とも、予防的な措置として以下を行うこととされました。
引用:コデインリン酸塩水和物又はジヒドロコデインリン酸塩を含む医薬品の「使用上の注意」改訂の周知について(依頼)
日本においては死亡例は0、重篤な副作用報告は4件(医療用2件、OTC2件)です。
だから安全というわけではありません。
出来れば使用を控えたほうが良いというのに変わりはないです。
それでも、基本的にはコデイン類を含まれている薬を(過剰でない量)飲んでしまっても、焦って何かを対策をしなければいけないと言うことはありません。
呼吸抑制などの重大な副作用が出ることはまずないでしょう。
コデイン類による呼吸器抑制などが日本人には起きにくい理由
コデイン類は体内でCYP2D6という酵素に代謝されます。
欧米の人は、遺伝的にCYP2D6が多い人がおり、そういう人に呼吸抑制などが起こりやすいとされています。
対して、日本人にはそういう人は少ないため、コデイン類による重大な副作用リスクは比較的少ないとされています。
小さいころに咳に悩まされていた人には、実際に使ったことがある人も少なくないと思います。
おそらく私も幼少期に使用経験があると思います。
呼吸抑制などの重大な副作用が出る可能性はかなり低いと考えます(大量に飲んだら話は別です)。
過度に心配する必要はありません。
不要なリスクを減らすための対応です。
誤飲につながらないように、薬は小さい子どもの手の届かないところで保管するようにお願いします。