パピロックミニ(シクロスポリン)点眼液の使い方と注意点や副作用について

パピロックミニ(シクロスポリン)点眼液の使い方と注意点や副作用について

春季カタルの治療に使われるパピロックミニ点眼液についてまとめます。

パピロックミニは1回使い切りで、開封後最初の1~2滴は捨てるなどの注意点の多い目薬です。

適切に使って早期に症状を抑えるようにしましょう。

パピロックミニ(シクロスポリン)点眼液の使い方と注意点

パピロックミニ点眼液はアレルギーを抑える目薬では効果不十分な場合の春季カタルの治療に使われる、希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)です。

有効成分はシクロスポリンで、「春季カタルの治療法に精通している医師のもとで行うこと。」との但し書きもあります。

春季カタルについては、別の治療薬であるタリムス点眼液の記事の後半でまとめています。

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パピロックミニ点眼液は、1日3回、1回1滴の点眼が基本です。

単独で使用した場合はタリムス点眼液のほうが効果の発現が早く、1日2回というメリットもありますが、目への刺激感などが高頻度で起こり、継続しにくいと問題になることが多いです。

つまり、パピロックミニは1日3回で副作用が少なめ、タリムス点眼液は1日2回で副作用が出やすいなど特徴があります。

 

パピロックミニ点眼液使用時には、以下の6点について注意をお願いします。

  1. できるだけ仰向けの体勢で点眼後、1~5分は目を閉じて、目頭のあたりを押さえること
  2. 目薬がまぶたなどに付いた場合は、拭き取ること
  3. 容器の先端が目などに付かないように注意すること
  4. 最初の1~2滴は点眼せずに捨てること
  1. 他の点眼薬を併用する場合は5分以上間を空けること
  2. 保存剤を含有しない一回使い捨ての目薬なので、使用後の残液は捨てること

 

パピロックミニ点眼液の有効成分は、光や酸素で分解されます。

アルミ包装に30本づつ保管されていますが、包装開封後は、遮光かつ室温保存し、6か月以内に使用してください。

また、添付の遮光用投薬袋に入れて2~8℃で保存した場合には、1年以内に使用してください。

目薬の中身が白濁している場合は、使用しないでください。

パピロックミニ点眼液の副作用

パピロックミニ点眼の副作用は、インタビューフォームで以下のように記載があります。

承認時
総症例45例中、副作用が認められたのは9例(20.0%)であった。主な副作用は、眼刺激感5件(11.1%)、眼そう痒感2件(4.4%)等であった。また、臨床検査値の異常変動は、総症例42例中2例(4.8%)であった。
使用成績調査(再審査終了時)
2006年から2008年までの使用成績調査2,647例中、副作用が認められたのは197例(7.4%)であった。主な副作用は眼刺激感67件(2.5%)、角膜びらん・角膜潰瘍等34件(1.3%)、眼そう痒感18件(0.7%)、流涙12件(0.5%)、眼瞼炎11件(0.4%)等であった。また、6ヵ月を超える長期投与726例において、副作用発現頻度の上昇および種類の変化は認められなかった。

目への刺激感などの報告はありますが、よく比較されるタリムス点眼液ほど高頻度ではなく、比較的問題なく使えることが多い印象があります。

 

また、パピロックミニ点眼液を使用することで、ステロイドの点眼液を使わずに済めば、ステロイドレスポンダーのリスクを減らせるメリットがあります。

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春季カタルは子どもに多く、ステロイドレスポンダーも子どもに多いので、ステロイドの点眼は少し使いにくいという面もあります。
※パピロックミニ点眼をステロイドの点眼と併用することも珍しくありません。

 

また、シクロスポリンの経口薬(ネオーラル/サンディミュン)には多毛の副作用があるため以下の記載がありますが、パピロックミニ点眼液では報告はありません。

経口投与において一般に小児での多毛の発現率(10~18%)は成人(2~6%)に比べ高い傾向がある。

 

使用頻度が高い目薬ではありませんが、感染症を増やしたり悪化させたりする可能性もあります。

眼科医の指導の元、適切に使っていただきたい目薬です。