ロタワクチン接種で1型糖尿病が減るという報告の紹介と私見

「ロタワクチンをきちんと接種すると1型糖尿病の発症率が減る」という、気になる報告があったので紹介します。

ロタワクチンについては、次回またまとめたいと思いますが、日本では任意の予防接種となっているワクチンです。

はじめに:1型糖尿病って何?

糖尿病と聞いて「大人の病気」という印象を持たれた方は「2型糖尿病」のことをイメージされているのではないかと思います。

2型糖尿病は生活習慣の関わりも大きい(それだけではありません)ですが、1型糖尿病とは違うものです。

 

1型糖尿病は、膵臓のインスリンを出すβ細胞が何らかの原因により壊されてしまい、インスリンがほとんど出なくなってしまいます。

体にとって必要なインスリンが絶対的に足りていないので、毎日のインスリン注射が必要になります。

インスリンの飲み薬の開発の話もありますが、現時点ではコスト面などから実現可能性は低そうです。

 

1型糖尿病は、糖尿病全体の約5%程度とされており、子どもを含めた若い年齢での発症も多いです。

なぜ1型糖尿病が発症するのか、明確な理由はまだわかっていませんが、「自己免疫」が関わっていると考えられています。

発症には遺伝の関わりもあるとは言われていますが、遺伝しないことも多く、環境因子の影響も大きいと言われています。

 

1型糖尿病は、現状では明確な対策方法はないとされています。

そんな中、ロタワクチンを完全接種することで、1型糖尿病が減ったという報告があります。

ロタワクチンで1型糖尿病が減ったという報告

ロタワクチンを使う理由は、ロタウイルスによる感染症の重篤化を防ぐためであることは間違いないですが、1型糖尿病の発症頻度を減らす可能性(あくまで可能性です)が示唆されています。

参考:Lower Incidence Rate of Type 1 Diabetes after Receipt of the Rotavirus Vaccine in the United States, 2001–2017

 

ミシガン大学の研究グループが、全米規模の医療保険データベースを用いて、ロタワクチンの接種状況とその後の1型糖尿病の発症率を検討しました。

1年10万人あたりの1型糖尿病の発症率を比較した結果は以下の通り。

  • ロタワクチンを規定どおり完全に接種した群では12.2人
  • ロタワクチンを接種したが、回数が足りないなど不十分だった群は20.5人
  • ロタワクチンを接種していない群が20.6人

 

統計学的な処理をすると、ロタワクチン完全接種群は未摂取群と比較して、1型糖尿病リスクが33%低下していました。

そして、不十分に接種していた群は、未接種群との差は認められていません。

 

また、完全接種群のロタワクチンの種類で比較すると、1価ワクチンは27%、5価ワクチンでは37%、1型糖尿病の発症リスクを低下させました。

オーストラリアでも同様に、ロタワクチン接種による1型糖尿病発症リスクの低下が報告されているようです。

最後に私見

先程の報告のポイントは以下の2つだと考えます。

  1. ロタワクチンを規定回数接種することで、1型糖尿病の発症リスクが33%減る可能性があること。
  2. 5価ワクチン(ロタテック)のほうが、1価ワクチン(ロタリックス)よりも、1型糖尿病の発症リスクが減る可能性があること。

ロタワクチンの種類は自分では選べない可能性も高いですが、ロタワクチンを接種するかどうかは選択できます。

日本ではロタウイルスのワクチンは任意接種ですし、接種コストも安くありません。

うちの子たちは完全接種させていますが、そうでないお子さんもよく見かけます。

 

今後のさらなる研究が待たれますが、現時点では、経済的な理由を除けばロタワクチンを接種しない理由は思い当たりません。

海外ではロタワクチンが定期接種になっている国も多いので、日本でも早くそうなれば良いと考えています。