吸入ステロイドの種類やデバイスの違いによる成長への影響【コクランレビューと私見】

ぜんそく治療に吸入ステロイドを使うことはスタンダードとなってきていますが、吸入ステロイドによる成長への影響については懸念が残っています。

 

吸入ステロイドの種類や、吸入用のデバイスの違いによっても差が出る可能性が指摘されており、その報告を紹介します。

※デバイス:吸入に使う装置のこと。
同じ成分の薬で、複数のデバイスが用意されていることもあります。

吸入ステロイドの重要性と成長への影響については以下の記事でまとめています。

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吸入ステロイドの種類やデバイスの違いによる成長への影響について:コクランレビューを紹介

Inhaled corticosteroids in children with persistent asthma: effects of different drugs and delivery devices on growth.

上記のコクランレビューを紹介します。

 

結論を私なりに意訳しますと、以下のように書かれています。

  • 吸入ステロイドの種類やデバイスが、ぜんそくの子どもの成長に影響を与える可能性がある
  • 同等程度の量の場合、フルチカゾンはベクロメタゾン・ブデソニドよりも成長を抑制する可能性がある
  • ブデソニドのイージーヘラー(デバイスの一種)は、ブデソニドのタービュヘイラー(デバイスの一種)よりも成長への悪影響が少ないと考えられる

十分なデータ量がある報告とは言えないため、より母数が多い研究結果が待たれますが、現時点では一つの参考になると考えます。

あくまで個人的な意見ですが、
イージーヘラー(気体を吸う)のほうがタービュヘイラー(粉末を吸う)よりも、肺活量を必要とせず、子どもでも吸いやすいため、結果としてイージーヘラーを使用している子どものほうがぜんそく治療がうまく出来ており、吸入ステロイドや内服のステロイドの量が減っている可能性もあるのではないかと考えています。

コクランレビューを日本の製品に当てはめて私なりに考える

レビューに記載のある吸入ステロイドを日本の製品に当てはめると以下のようになります。

・フルチカゾン(フランカルボン酸エステル):フルタイド(ディスカス・エアゾール・ロタディスク)
※配合剤としてアドエア(ディスカス・エアゾール)、フルティフォーム(エアゾール)・ブデソニドパルミコート(吸入液・タービュヘイラー)
※配合剤として、シムビコート(タービュヘイラー)

・ベクロメタゾン:キュバール(エアゾール)

吸入ステロイドにはその他にも、シクレソニド:オルベスコ(インヘラー)などがあります。

 

フルチカゾンには、フランカルボン酸エステルのアニュイティもあります。

アニュイティはアメリカの添付文書では半量(50μg)が5歳から使用可となっていますが、日本では現在のところ100μg~の成人向けの製品となっています。

フルチカゾンフランカルボン酸エステルは点鼻ステロイドのアラミストと同じ成分です。

ブデソニドのデバイスによる違いについて

コクランレビューによると、ブデソニドはイージーヘラーのほうがタービュヘイラーよりも成長への影響が少ない可能性が指摘されています。

ブテソニドの単剤は日本ではパルミコートの吸入液とタービュヘイラーがあり、イージーヘラーはありません。

パルミコート吸入液の粒子径などは、タービュヘイラーよりはイージーヘラーに近いと考えますが、吸入液とイージーヘラーを同一と考えることも出来ません。

 

仮にパルミコート吸入液のほうが影響が少ないとしても、パルミコート吸入液の使用にはネブライザーという機器を購入する必要がありますし、吸入時間もかかります。

デバイスの選択には多角的な視点が必要となりそうです。

吸入ステロイドの種類について

ブデソニドやベクロメタゾンよりもフルチカゾンのほうが成長に影響を与える可能性も指摘されています。

ステロイド単剤であれば、フルチカゾンを選択しないという選択肢を取ることは可能です。

 

ぜんそくの症状次第では、β刺激薬との合剤を使用する可能性もあります。

その場合、子どもへの適応を有しているのはフルチカゾンを使用しているアドエアだけです。
※アメリカの添付文書ではシムビコートは6歳から使えることになっており、日本でも使われることもあります。

小さいお子さんに使う場合、エアゾールの剤形があるアドエアのほうが吸いやすいという点でも、アドエアを使用している方が多いと思います。

 

実際のところ、吸入ステロイドの種類だけでなく、配合剤の有無や小児適応、そしてデバイスも考慮に入れて考える必要があるでしょう。

【最後にお願い】ぜんそく治療は専門医のもとで適切に

コクランレビューと、それに関する自分の考えを書きました。

ここまでの内容とは別に、ぜんそく治療において強調しておきたいことを以下に書きます。

・ぜんそく治療において大切なことは、ぜんそくを悪化させないことです。

・薬での治療に心配があるならば、なおさら、専門の医師のもとで吸入ステロイドを含めた薬物治療を適切にすることが大切だと考えます。

・未治療でぜんそくが悪化していくと、結果的により多くの治療が必要になる可能性があることは忘れないでください。

一つの視点だけで考えると目立った選択肢が出てくることもありますが、多角的に見るとそう簡単にはいかないことも多いと日々感じています。

私は薬剤師なので、直接薬の選択に関わることはありませんが、相談された時には色々な視点で答えれるようにありたいと思います。

小児ぜんそくの基本については以下の記事にまとめています。
お時間があればご覧ください。

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