トラクリア小児用分散錠32mgの飲み方、副作用と併用に注意が必要な薬

トラクリア小児用分散錠32mgの飲み方、副作用と併用に注意が必要な薬

肺動脈性肺高血圧症治療薬のトラクリア錠は世界で広く使われていましたが、日本においては小児への適応がありませんでした。

また、成人にはトラクリア錠62.5mgが使用されますが、乳児・幼児・小児には1回2mg/kgを1日2回朝夕での服用(最大投与量は1回120mg,1日240mg)となり、成人用の製剤では用量の調節が困難です。

 

そのため、用量の調節が比較的容易で、かつ飲みやすいように考慮されたトラクリア小児用分散錠32mg(1錠中ボセンタン32mg)が発売されています。

 

小児用製剤は製薬会社側から考えれば手間がかかる割にあまり利益にならないという面があります。

そのため、使用頻度は低いが重要度の高い小児用製剤を作ってくれる製薬会社さんには感謝です。

トラクリア小児用分散錠の飲み方

トラクリア小児用分散錠32mgは容易に4分割が可能な形状になっており、その1つがポセンタンとして8mg相当になります。

目安としては、体重が4kg増えるごとに錠剤を4分割したものを1つ追加で調節が可能です。

もちろん増量は医師の判断のもとで行い、自己(保護者)判断での増量は厳禁です。

なお、分割した後は、密閉容器で室温保管の上で3か月以内に使用するようにと記載があります。

 

トラクリア小児用分散錠は、スプーン等に1回分の錠剤とそれを覆う程度の水分を加えて分散させてから飲み、飲み残しの無いように使用したスプーンに再度水を加えて飲みます。

溶かしてから飲む錠剤なので、錠剤がまるっと飲み込めなくても使用が可能です。

また、原薬のポセンタンは苦味がありますが、トラクリア小児用分散錠は香料や甘味料を加えて飲みやすい味となっています。

 

なお、過剰に服用することは重度の血圧低下につながる可能性があり大変危険なため、子どもが勝手に薬を出して飲まないように、錠剤が取り出しにくくなっています。

裏面の保護フィルムを剥がしてから錠剤を押し出す必要があるのでひと手間かかりますが、安全のためですので必要な手間と捉えましょう。

 

空腹時よりも食後のほうが最高血中濃度が22%高いと報告されているが、食事は臨床上重要な影響を及ぼさないと考えられると添付文書に記載あります。

もちろん、医師から服用に関して特別な指示があればそちらに従ってください。

 

またトラクリア小児用分散錠は成人用のボセンタン水和物普通錠よりもバイオアベイラビリティが低いので、同じmg数でも同等の効果が出ないことが考えられます。

トラクリア小児用分散錠2錠(ポセンタン水和物として64mg)と、トラクリア錠62.5mg1錠(ポセンタン水和物として62.5mg)は、成分量としては小児用分散錠2錠のほうが多いですが、血中濃度は62.5mg錠1錠のほうが高いと報告されています。

小児錠から成人用への切り替え時には注意が必要です。

 

なお、成人で錠剤が飲み込めない場合は粉薬(ボセンタン成人用DS6.25%「モチダ」)があります。

適応はもちろんですが、薬価の面からも小児用分散錠よりもかなり割安です。

トラクリアの副作用と併用に注意が必要な薬

実際にトラクリア小児用分散錠を処方されるのは、小児の肺動脈性肺高血圧症治療に詳しい医師だけだと思います。

不適切例に処方されることや、十分な検査なく続けることは無いと思いますが、以下の点には注意が必要です。

 

AST、ALTなどの検査値が上がりやすいため、投与前及び1か月に1度以上の肝機能検査(開始3か月は2週ごとが好ましい)が必要で【警告】に記載されています。

その結果、基準値の3倍を超える場合や、数値の上昇と肝障害の臨床症状(吐き気・発熱・腹痛・黄疸など)が併発する場合、ビリルビン値が基準値の2倍以上になる場合などでは用量の調節や中止が検討されます。

トラクリア服用中は肝障害への注意は忘れず、気になることがあれば早めに相談しましょう。

 

その他にも副作用としては、頭痛、鼻閉、腹痛、胸痛、倦怠感などなどの報告があります。

重大な副作用として、重篤な肝機能障害、汎血球減少、白血球減少、好中球減少、血小板減少、貧血、心不全、うっ血性心不全等があらわれることがある。

 

トラクリアは他の薬と相互に影響を与えやすい点にも注意が必要です。

CYP2C9や3A4で代謝される薬との併用で血中濃度上昇の可能性がある一方、これらを誘導することで併用薬剤の血中濃度低下の可能性があります。

また、CYP2C19も誘導するとの報告もあり、併用に注意すべき薬剤は多数あります。

 

併用禁忌扱いの薬としては以下の3成分があります。

製品名はこれらとは異なることがあるので、その点にも注意が必要です。

  • シクロスポリン
  • タクロリムス
  • グリベンクラミド

 

禁忌まではいかずとも併用に注意すべき成分はたくさんあり、トラクリアの添付文書に記載がある中で代表的なものを挙げておきます。

 

なお、アドシルカの添付文書には記載がありませんが、クラリスロマイシンの添付文書ではアドシルカが併用注意薬になっています。

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このように、薬を併用する場合には、それぞれの添付文書に目を通しておいたほうが良いケースがあります。

もちろん、処方される時点でチェックし、調剤でもチェックされています。

併用注意を理解の上で併用されることもありますが、気づかず併用とならないように、他院に受診する際には服用中の薬は必ず全て伝えるようにしてください。